投資銀行に未経験であっても転職することは可能です
若さは最大の武器であり、タイムリミットがまだ来ていない20代から30前後であれば、投資銀行への転職は十分に可能です
新卒での投資銀行への入社はかなりの倍率になりますが、転職はそうでもないというのが実感です。新卒の採用はインターンやグループディスカッション、エントリーシートなど膨大な作業が発生しますが、中途採用では履歴書、職務経歴書くらいの準備であとは面接です
第二新卒を含む中途採用で投資銀行を受ける場合のポイントについて解説します
中途採用の面接におけるネガティブチェック・リスト
面接では必ずネガティブチェックを行います。ネガティブチェックとは、候補者が看過することができない大きなマイナス項目を持っていないかどうかを確認することです。具体的な項目は以下の通り
- 社会人として適切なの身だしなみや振る舞い:(学生ではないので知らないは通用しない)
- 在籍していた会社との関係:(会社とトラブルを起こしていないかどうか)
- 仕事の本質の理解:(今までの仕事の役割期待、どのような努力をしてきたか等)
- 会社を辞める(辞めた)理由:(ポジティブな理由を面接官は聞きたい)
例えば、英語が堪能であると加点要素になりますが、ここであげたネガティブチェック・リストはひとつでも引っかかると即刻アウトになる性質のものです
目の前の仕事がおもしろくて夢中になっていれば、転職を考えることはなかったと思います。なので、転職を考える最初のきっかけは、ネガティブなものだったかもしれませんが、面接の段階では自分の気持ちを切り替え、ポジティブな状態に持って行ってください。ポジティブな感情に慣れなければ、まだ転職を考える段階ではないと言えます
即刻アウトとなるネガティブな要素について説明しましたが、投資銀行に限らずすべての業界における面接で共通のものです
次は何があれば投資銀行の転職の面接で加点要素となるのかを説明していきます
加点要素となる資格・スキル・経験など
未経験でもこういった資格、スキル、経験は加点要素となり採用の可能性が高まるといったものを具体的に説明します
英語力・留学経験
TOEFLやTOEICで高得点を持っているとアピールしやすいです。また語学留学ではない留学経験もアピールしていいと思います
外資系の会社では入社するために英語力は役立ちますが、入社してからは英語力は評価されないことは理解しておいてください。日本の会社で日本語ができるからといって評価されないのと一緒です。外資系ではあくまで英語力は入社するための要件です
日系では今でも英語力は評価されます。ビジネスレベルの英語力を持つ人は多くないため、入社後も英語力があることは評価されます
金融のバックグラウンド
銀行で法人営業をやっていた、証券でリテール営業をやっていたなど経験はなんでもいいと思います
仕事を通じて身につけた知識や経験があるはずです。これを徹底的にアピールしてください
営業で社長賞ととったでもいいですし、日本企業は研修がしっかりしているので、コーポレートファイナンスから簿記、財務分析まで研修でみっちり勉強した等、アピールできることはたくさんあると思います
金融の仕事をずっと続けていると”金融臭”がどうしても強くなってきます。外見や話した感じで金融の人っぽく感じられるようになります
金融のバックグラウンドを持つ人が転職するのにあらためて金融を目指すというのは、少なくとも金融が合わないことはない点で採用する側としては安心です
金融以外から投資銀行に入ると、そもそも金融が合わなかったということがまれにあります
事業会社の経営企画・事業開発・財務の経験
まさに投資銀行がサービスを売り込む先の部署にいた経験になります。そもそも事業会社でこのような部署にいる人材の数がマーケットに少ないため希少性があります
転職市場やキャリアを考えるうえで、5年以上前の職務経験は考慮しないというのがわたしの考えですが、直近まで企画・開発・財務などのコーポレート部門にいた場合にはその経験は貴重なものと言えます
海外勤務経験
若手で海外勤務経験があると転職市場ではすごく強いです。今いる会社で海外勤務の希望を出すことを強くお勧めします
海外勤務と言っても、日本企業なので海外支店の同僚は日本人、取引先も日系企業ばかりで英語やビジネス力が上達しないというのはよく聞きます。そういうことはよくあるでしょう
ですが、そこまでの事情は面接ではわかりません。海外勤務経験者が(実際の実力以上に?)評価されて転職したケースを何度も目の当たりにしました。本当に幸せなキャリアを送れてるのかどうかまではわかりませんが、海外勤務経験は転職では強い、のは間違いないです
外資系の投資銀行、特に日本の拠点ではまず海外勤務というのはなく、基本的に東京でのローカル採用です。外資系から見ても、海外勤務の経験は貴重と言えます
特定のインダストリー・セクターの知見
事業会社にいて特定の分野に対する知見や造詣があると強いです
半導体、EVやバッテリー、再生エネルギー
こういった分野の経験は買われます(他にもあると思います)。そもそも事業会社から投資銀行に転職しようという人が稀ですが、顧客の経営課題がより深く理解できるため、顧客の懐に入り込むバンカーとなれる素地があります
会計ファームでの経験・公認会計士
会計ファームから投資銀行に転職してくるケースは意外と多く、公認会計士を持っているとかなり強いです
4大会計事務所が有名ですが、その中でも会計出身、コンサルティング出身のそれぞれの方が活躍されているイメージです。会計の実務経験・知識があることは強みです
ESG経営など企業のサステナビリティ推進に関わる業務経験
ESG経営に関する知見は転職市場で強く、投資銀行以外からも引き合いがあると思います
企業のホームページを見てみると、企業情報、投資家情報、IR・ニュースなどに続いて、ほぼ必ずと言っていいほどサステナビリティという項目があります
ESG(環境、社会、ガバナンス)の観点から事業を持続的に行っていく経営を企業は求められています。2050年のカーボンニュートラルに向けて、事業をどう変革し経営を行っていくのか
ESG経営の実務経験者は転職市場では強いと言えます
未経験での投資銀行への転職まとめ
未経験での投資銀行への転職は可能です
加点要素となる資格・スキル・経験はあるといいもの(nice to have)であり、1-2つあるといいと思います
一方で、絶対にないとだめ(must have)なものは、投資銀行カルチャーへのフィットだと思います
投資銀行は通常の事業会社と異なり、独特のカルチャーがあります。投資銀行の雰囲気が少しわかってもらえそうな記事もあるので、参考にしてみてください