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【外銀のタイトルごとの年収(ベース+ボーナス)推移】外資系投資銀行の給料が高い理由

〇外銀・外資系証券の基礎知識
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外資系投資銀行では新卒でも1,000万円に近い年収が期待できます。なぜ外銀はこれだけの高い給料を払うことができるのでしょうか?

外銀の年収・給料が高い理由を解説していきますが、まずは外資系投資銀行におけるタイトルごとの年収推移イメージを押さえておきましょう

外資系投資銀行の年収(ベース+ボーナス)推移イメージ

部門や部署にもよりますが、フロントであれば大まかには以下の相場観であると思います。アナリストやアソシエイトなどの若手は以下の給与テーブルから大きく外れることはないはずです

一方でディレクターより上はベース給よりもインセンティブ給(ボーナス)の割合が多くなり、個別に判断される傾向があります。いくら稼ぐかが問題であり、極端に言えば1億円払ってもコストに見合うリターンがあると判断すれば、マネージャーはその年収を支払う判断をします

略称タイトル年齢イメージベース給インセンティブ給
ANアナリスト22~27歳600~800万円300~500万円
ASアソシエイト25~35歳1,000~1,200万円800~1,000万円
VPバイスプレジデント28~40歳1,300~1,500万円1,300~1,800万円
Dディレクター32~45歳2,000万円2,000万円~
MDマネージングディレクター35~50歳2,000万円~3,000万円~

インセンティブ給は支払いが保証をされているものではなく、あくまで自分と所属する部署、会社全体の業績次第で変動するものだと思っておいてください

なので、ジュニアバンカーの間は、日々の暮らしはベース給の範囲内に抑えて、将来に備えてボーナス(インセンティブ給)は貯蓄に回すという暮らし方もおすすめです

2022年は厳しい外部環境が続き、米銀によるボーナス削減のニュースが出ていました。大半の外資系投資銀行は年度決算が12月末締めです。リストラは12月までに行われ、残った人にボーナスを支払うのがだいたい2月ごろとなるのが例年のスケジュールです

ゴールドマンが最低40%のボーナス削減検討、投資バンカー向け-報道

2022年12月15日 7:24 JST

米銀ゴールドマン・サックスは今年、3000人余りのインベストメントバンカー向けボーナス原資を少なくとも40%削減することを検討している。英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)が事情に詳しい複数の関係者を引用して伝えた。

  関係者によると、ゴールドマンの最終的なボーナスプールはまだ決定されていない。約400人のパートナー向けボーナスも最大で半分に減らされる可能性があるという。

引用元 Bloomberg

外銀の年収・給与イメージがつかめたところで、なぜ外資系では高い年収や給料を支払うことが可能なのかを説明していきます。

外銀についての解説は下記の記事にまとめています。

外資系の年収・給料が高い理由

外資系と日系とで人材の優秀さに大きな差はありませんどちらにも優秀な人はいるし、そうでない人もいます。ですが待遇には大きな差があります。この差はどこから生まれてくるのでしょうか?

ポイントを絞って解説します

2倍の給料で3倍働く

ざっくり言うと外資系の若者は2倍の給料で3倍働くイメージです

友達と飲みに行っても飲みが終わったらオフィスに戻る。1週間のうち、目覚まし時計をかけないで寝れるのは土曜日の朝だけで。土曜は午後、日曜は1日フルに出勤というライフスタイルです

経営者の目線では、とても効率がよいです。会社の人件費は本人に払う給与やボーナス以外にも厚生年金保険、健康保険や雇用保険など様々な法定福利費がかかります

そのため、人員体制を手厚くして業務を回すのではなく、今いる人員をどのように効率よく使うか人材使用の回転率をを徹底的あげていくのが外銀の仕事のやり方です

外銀では残業時におけるディナーや深夜帰宅のタクシー代も会社で持ちます。人材を効率活用するための費用であり、人材を増員するよりも圧倒的に安上がりだからです

福利厚生がほとんどない

外資系では福利厚生はほとんどありません。資格手当、家族手当などの類はなく、たまに研修があるくらいです。自己啓発のサポートもないですが、自己啓発に充てる時間があったら仕事をしたほうが自分の成長につながるという感覚です。福利厚生がない分が給料に回ってきているとも言えます

唯一、住宅に関するサポートはあります。これは賃貸住宅に住んでいる場合に、会社名義で借り上げてくれて、会社が家賃を払います。家賃は給与から差し引きとなりますが、税前で引かれるため、税金分だけお得になる制度です

簡単に説明すると以下の通りです

外資系のハウジング・サポート(住宅補助)の仕組み

日本の所得税は累進課税となっており、所得が高くなると税率があがります。令和4年4月1日現在で以下の税率となっています

課税所得金額税率控除額
195万円以下5%0円
195万円~330万円以下10%9.75万円
330万円~695万円以下20%42.75万円
695万円~900万円以下23%63.6万円
900万円~1,800万円以下33%153.6万円
1,800万円~4,000万円以下40%279.6万円
4,000万円~45%479.6万円

年収を3千万円、家賃を月50万円・年600万円として所得税を計算してみましょう。自分で家賃を払う場合と会社が家賃を払う場合で、手取りの差が198万円となります

会社が家賃を払う場合は家賃の分だけ課税所得金額を減らせるため、その分の所得税が減ります。家賃は600万円ですが実質400万円程度で住むことができます。実際の計算は復興特別所得税を含めてもっと複雑な計算となりますが、ハウジングサポートによる節税の概念はこの通りとなります

前提条件
年収30,000,000 a
家賃6,000,000 b
控除額1,536,000 c
税率33%d
自分で家賃を払う場合
税金9,393,120 e= (a – c) x d 
税引き後の手取り20,606,880 f= a – e 
家賃支払い後の手取り14,606,880 g= f – b
会社が家賃を払う場合
年収(家賃控除後)24,000,000 h= a – b
税金7,413,120 i= (h – c) x d
税引き後の手取り16,586,880 j= h – i
差額1,980,000 k= j – g

退職金がない

外資系では退職金はありません。長く会社に勤務することにインセンティブを与える発想は外資系でもありますが、会社は退職金という金銭的な長期債務を抱えるようなことはしません

永続勤務に対するインセンティブは以下のようなものが代わりにあります

  • 永続勤務表彰(10年・20年のような節目で記念品がもらえる)

退職金がない分が目先の年収に反映されているとも言えます

ボーナスは現金だけではない

アナリストのボーナスはその全額が現金だったと思いますが、タイトルが上がるにつれてキャッシュに加えて、エクイティでの支払いの割合が増えてきます

例えば、ボーナス1,000万円のうち、500万円がキャッシュ、500万円が会社のエクイティで支払われるようなイメージです。またエクイティ部分はすぐに売却することはできません

べスティングといって、一定期間の経過後に権利が確定する仕組みとなっています。例えば、エクイティボーナスの20%が毎年、権利確定するように設計されており、全額をすぐに売却するといったことはできません

権利確定した年はエクイティボーナスの分だけ年収が増えます。その分、支払う税金も増えますが、手元に現金を持っているわけではないので、資金繰りは厳しくなります。またボーナスの通知を受けた時点では500万円分のエクイティだったとしても、5年間にわたって権利が確定する時点での株価次第で、実質的なボーナスの金額が変動することとなります

このあたりは会社によって内容が異なる可能性はあります。会社にとって現金よりも負担の少ないエクイティの支払いもあることが、年収が高い一因となっています

アップ・オア・アウト(リストラ)がある

アナリストを3年やって、アソシエイトに昇格できなかったら、会社をやめることになるアップ・オア・アウトのカルチャーが投資銀行にはあります。またビジネスの収益状況が厳しい場合にはリストラがあります

IBDは少し長い目で結果が出るまで見守る傾向がありますが、マーケット部門は日銭商売であり、短期志向が強いです。パフォーマンスが悪い下位5~10%を入れ替えることを毎年やっているケースもあります

終身雇用ではないので、いい意味では新陳代謝が活発です。巷でよく言われる働かないおじさんはまず外資系の組織にはいないでしょう

新陳代謝が定期的に行われる組織であることが、高い年収を可能にしているとも言えます

少数精鋭?最低限の人数しかいない

少数精鋭と言えば聞こえがいいですが、ビジネスを回していくのに必要最低限の人数しか置かないことが大半です。日系証券ではあれば、A社の正担当がいて何かの際のバックアップや長期休暇に備えて副担当をつける、ということがあります

外資系では基本的には担当が休んだら代わりがいないと言うことが割と起きます。担当者が会社を辞めたら次の担当を採用するまで、担当が不在ということもありえます

無駄な人を置かないことも効率的な組織を可能にしていると言えます

まとめ

外資系投資銀行の年収推移イメージとともに外銀の年収が高い理由について解説してきました。”2倍の給料で3倍働く”は、実体験の感覚にもマッチすると思います

年収の高い外資系ですが、うまい話だけではない点は認識しておくとよいと思います

  

外銀について下記の記事で解説しています。

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