この記事ではシティグループについて解説していきます。
シティグループの特徴・歴史
シティグループ(Citigroup Inc.)は、ニューヨークに本社を置く金融持株会社です。
1812年に設立されたシティバンク・オブ・ニューヨークと1863年に設立されたファースト・ナショナル・バンク・オブ・ザ・ニューヨークが合併しシティコープの母体となっています。
1998年にはシティコープとトラベラーズ・グループの合併により、当時は米国最大の銀行、世界最大のクレジットカード発行体となり、グループ全体でクレジットカード、消費者金融、証券、保険などは幅広い金融サービスを展開する企業に成長しました。
一時は世界で100に近い国・地域で事業展開する多国籍企業となったが、2008年のリーマンショックにおける損失は世界の金融機関の中で最大規模となりました。
一時は局所的に事業縮小を余儀なくされる局面もありましたが、2022年12月時点で約24万人の従業員を抱える世界有数の金融グループとなっています。
シティグループの事業は以下のセグメントに分かれています。
Citigroup Inc. 2022 Form 10-K
Institutional Clients Group (ICG) は、Services、Markets、Bankingの3つの事業部門で構成されています。ICGは企業や政府・自治体などに対して、フルレンジのホールセール・バンキング・プロダウトを提供しており、例えば、債券や株式の売買、為替、デリバティブ、債券・株式リサーチ、貸付、投資銀行およびアドバイザリー業務、キャッシュマネジメント、貿易金融、証券決済などが含まれます。
ICGは特に国際的なプレゼンスがあり、約80の国にトレーディングフロアを持っており、95の国・地域にネットワークを保有しています。そのため、シティを通じて取引できない通貨や国債などはほぼ存在しないと言っても過言ではないと思います。
Personal Banking and Wealth Management (PBWM) は、U.S. Personal BankingとGlobal Wealth Management (Global Wealth)で構成されています。
U.S. Personal Bankingは、個人向け銀行業務やカード事業があり、アメリカン・エアラインやコストコ、Home Depot、Best Buy、Sears and Macy’sなどと提携するカード事業が含まれます。2022年末時点で654の支店が米国内にあり、特にニューヨーク、シカゴ、ロサンゼルス、サンフランシスコ、マイアミ、ワシントンDCの6つの大都市に集中して出店しています。
Global Wealthはプライベートバンクを営んでおり、ultra-high-net-worth(超富裕層)と呼ばれる顧客層に対して、銀行業務、貸付、住宅ローン、投資、カストディ、信託業務を展開しており、米国、メキシコに加えて、プライベートバンクの重点戦略地域であるシンガポール、香港、UAE、ロンドンで事業を展開しています。
- 日本では富裕層というと金融資産1億円ですが、純資産3千万ドル以上(ざっくり40億円)UHNW(Ultra High-Net-Worth)を持つ富裕層カテゴリーがあります。
- 投資銀行ビジネスを行う上で、この投資家層にアクセスできるかどうかがポイントになる局面もたびたび出てきます。
- 2020年のコロナウィルス拡大により世界経済は大きな打撃を受けましたが、世界でUHNWに属する人々の金融資産はむしろ急増しています。
Legacy Franchisesはある意味で負の遺産であり、今後撤退していく事業のことです。アジアおよびメキシコなどからリテール事業は撤退していく意向であり、随時進めている状況です。
Corporate/Otherと呼ばれるセグメントがあります。これはシティグループ全体で必要となるファイナンス、リスク管理、人事、法務・コンプライアンス関連の部門です。
日本におけるシティグループ
シティバンクの前身のインターナショナル・バンキング・コーポレーションが1902年に横浜に支店を開設しています。
日本に事業におけるエンティティは以下の通りです。
エンティティ | 事業内容 |
---|---|
シティグループ証券株式会社 | 投資銀行 |
シティバンク、エヌ・エイ東京支店 | 商業銀行 |
1999年にシティグループと当時の日興証券とで日興ソロモン・スミス・バーニー証券が設立され、その後、2003年に日興シティグループ証券に名称変更しています。その後、2009年に三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)に一部の事業が譲渡され、今のシティグループ証券となっています。
またシティバンク銀行は日本国内で個人業務を行っていましたが、2014年に個人向け事業をSMFGに譲渡しました。これは現在のSMBC信託銀行となっています。シティバンク、エヌ・エイ東京支店は法人向けに特化した商業銀行業務を行っています。
シティグループ証券投資銀行部門(IBD)の強み
ここではシティグループの強みについて解説していきます。
外貨(米ドル建て)のメインバンクはシティ
シティグループは商業銀行が母体となっており、世界中に広がるネットワークが強みです。
日本企業はMUFG(三菱UFJ)、SMFG(三井住友)、みずほのいずれかをメインバンクとしていますが、外貨の取引においては外銀をメインバンクに使っています。グローバル企業であるほど、日系銀行ではなく外銀を使うケースが大半です。
グローバル・ビジネスにおける決済通貨は引き続き米ドルであり、米銀はこの点で優位性があります。
外貨のメインバンクであることを起点として投資銀行ビジネスも売り込むことができる点がシティグループの強みであると言えます。
総合力に秀でたオールラウンド・プレーヤー
グローバルなネットワークを生かし、シティはどんな仕事でもそつなくこなすことができます。
GSやモルスタなどの生粋のインベストメント・バンクと比較すると、投資銀行ビジネスにおいてはブランドが劣る面もあるかもしれませんが、総合力に秀でた金融機関と言えます。
シティグループIBDの年収・給料・激務度
シティグループは米銀の中でも相応の給与水準が期待できます。所属する部署と個人成績のパフォーマンスによって大きく変わる点は認識しておいてください。
また少数精鋭で人員体制はつねにひっ迫している状況であり、仕事環境は激務であるといえます。
略称 | タイトル | 年齢イメージ | ベース給 | インセンティブ給 |
---|---|---|---|---|
AN | アナリスト | 22~27歳 | 600~700万円 | 300~400万円 |
AS | アソシエイト | 25~35歳 | 1,000~1,200万円 | 800~1,000万円 |
VP | バイスプレジデント | 28~40歳 | 1,300~1,600万円 | 1,300~1,800万円 |
D | ディレクター | 32~43歳 | 2,000万円~ | 2,000万円~ |
MD | マネージングディレクター | 35~50歳 | 2,000万円~ | 3,000万円~ |
シティグループの難易度
米銀TOP5にランクインするシティグループは入社難易度は高いです。
ESや面接対策は過去の事例などを見て入念に準備をしてください。
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