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投資銀行はオワコンか?【反論してみる】

〇投資銀行の基礎知識
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投資銀行はオワコンではないかと言われます。

これは半分は本当で半分は間違いと思います。賛否両論ありますが、投資銀行がオワコンなのかどうか考えてみたいと思います。

投資銀行はオワコンと主張する意見

金融業界はイノベーションをやり尽くした

20世紀は金融理論とテクノロジーの発展によって金融業が著しく発展しました。

物理学の熱伝導方程式拡散方程式などをオプションやスワップなどの金融商品に応用することで生まれたブラック・ショールズ方程式

株式のコストを計算するCAPM (Capital Asset Pricing Model)と呼ばれる資本資産評価モデル

信じられないかもしれませんが、2000年前後の日本では株式コストを提案書に入れて持っていくとゼロではないのかとびっくりされた時代です。

このような金融理論の発展に加えて、1980年台初頭に生まれたエクセルに代表されるITテクノロジーの発展が投資銀行業の発展を加速させました。

金融の基本的な考え方に、将来キャッシュフローを予測し現在価値に割り引くことで価格を求めるというものがあります。

これには10年、20年、30年先のキャッシュフローを求める必要があり、エクセル価格モデリングを極めて簡単にしました。

1900年台から2000年の初めまで投資銀行業界は大きく発展を遂げましたが、転機となったのがリーマンショックです。トリプルAの格付け(最高の信用力)がつけられていた債券が実は中身に根拠がないことがわかりました。

サブプライムという言葉は聞いたことがありますか?プライム(優良顧客層)よりも信用力が下位で、通常では審査に通らない住宅ローンの借り手グループをサブプライムと呼びます。

統計を用いたリスク評価手法を用いた証券化という金融技術によりリスクを分散させることで、サブプライム層に対する住宅ローンが証券化により形を変えて、世界中の投資家に転売されていました。

金融理論や技術が限界ぎりぎりまで発展を遂げ、イノベーションの限りを尽くした結果、システムとしての金融が暴走してリーマンショックにたどり着いたと思っています。

リーマンショックの評価は多くの映画や書籍などで描かれているので、ぜひ参考にしてみてください。

金融の歴史を振り返ると、何かシステムに問題があるとわかるとそれに対応する規制やルールが課せられています。失敗が起きたときに同じ失敗を起こさないようにするためです。

リーマンショックを受けて、国際的に金融規制や資本ルールが厳しく強化されています。過度なリスクやレバレッジは取れないように規制されており、投資銀行にとっては厳しい収益環境となっています。

イノベーションをやり尽くした結果、リーマンショックに至った経緯を考えると、古き良き時代を知る人からすると、今の時代の投資銀行はオワコンと感じるのもわからなくもないと感じます。

金融理論やコーポレートファイナンスの知識が一般化した

ブラック・ショールズ方程式やCAPMといった理論は専門性の高い内容であり一部の人しか理解できない内容でした。いまは金融理論やコーポレートファイナンスが一般化し、中身を理解してなくても言われた数値を入力すればエクセルが答えを出してくれます。

一部の顧客は投資銀行に頼まずに自前で判断し、意思決定するようになっています。M&Aの分野ではたまに聞く話です。

一方でDCMでもECMであっても資金調達の分野は、投資銀行が持つ引受機能と販売網(世界中の投資家へのアクセス)は顧客企業にとっても必要不可欠であり、自前で済ませる動きは見られていません。顧客企業が自前で自分の社債を投資家に対して売るのは難しく、価格交渉などを自分でするのはかなり大変だと思います。

オワコン主張のまとめ

投資銀行業界は一定の評価が確立し先行きを見ても著しい成長が期待できる業界ではないように思えます。いつの時代でも敏感な人、鈍感な人がいますが、敏感な人は下記のように感じているのでしょう。これは新聞の切り抜きからの抜粋です。

評価が確立して、プロセス型エリートがほっといても集まってくる業界に、新参者としてはいっても、超過利潤にはアクセスできない。超過利潤は、既得権者(資本家や経営トップ層)がエンジョイする

ベンチャーは、新しい技術やビジネスモデルで、既得権益を倒して利潤の分配構造を自分達に有利に転換するプロセスとも言える。成長する新しい産業に身を置くことが大事。新しいポジションが生まれてくるから

伝統的企業で順番待ちしても、20-30年後に順番が回ってくる保障なんてどこにもない

超過利潤にアクセスできない、は私もそう思います。投資銀行業界の超過利潤にアクセスするには、金融理論とITテクノロジーがまさに発展していた1980年台にジュニアバンカーとして入社する必要があったと思います。

投資銀行はオワコンではない理由

投資銀行は金融業界の中では評価が高い

若手の時期を投資銀行でしっかりと過ごせばそれだけで評価されると思います。いわゆる、つぶしが効く仕事であり、投資銀行でしっかりと仕事をしていれば、金融業界という広いフィールドの中で次の仕事・転職先は比較的簡単に見つかると思います。

裏を返すと、自分はまだこれだという仕事を見つけられてないけど、金融業には興味があるという人には投資銀行はおすすめです。

つぶしが効くから投資銀行を志望しますと面接で言われると面接官はびっくりするので言わないほうがいいですが、インベストメントバンカーはつぶしが効くのは間違いないです。

よくある転職先を下記にまとめました。

  1. プライベート・エクイティ
  2. ヘッジファンド
  3. ベンチャー・キャピタル
  4. 事業会社の新規事業開発・M&A
  5. スタートアップ

投資銀行でしか体験できないことがある

投資銀行で働いていてよかったなと思える瞬間がたまにあります。

・クロスボーダーの取引をOne Teamでやり遂げたこと

・ストーリーがはまって案件が取れたとき

1年が365日あって、そのうち300日くらい働いてます。その中で5~10日くらい投資銀行に入ってよかったと心から思える瞬間があるかと思います。

投資銀行でよかったと思える瞬間は別記事に書いてます。

まとめ

投資銀行はハイスペック学生に人気のある業界です。誹謗・やっかみはある程度は仕方ないと思います。

知る限り投資銀行は最も狩猟民族としての特徴を持っており、ディールを常に追いかけてます。ディールを獲って案件がうまくいった時は格別です。

これはジュニアとしてではなく自分が担当する案件であれば最高の気分になれます。

アドレナリンが出続ける限り、投資銀行はやめられない仕事です。

それでも投資銀行の仕事を長く続けていると疲れるときは来ます。

その時は下記の記事を参考にしてください。

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