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投資銀行(IBD)の仕事で良かったこと・悪かったこと【激務だけどやりがいは?】

〇投資銀行の基礎知識
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20年以上投資銀行業界で働いた経験を振り返ると良かったこと・悪かったことが思い出されます。これから投資銀行で働くことを考えている人やいま投資銀行で働いていて転職を考えている人に向けて、投資銀行で働いて良かったこと・悪かったことをいくつか挙げてみます

何かの参考になればと思います

クロスボーダーの取引をOne Teamでやり遂げたこと

わたしはこれまでのキャリアで日本の企業が海外市場で資金調達を行う案件に参加する機会に恵まれました

準備には数か月の時間をかけますが、資金調達のマーケティング期間は1-2週間の場合から短い場合で1日で終えることがあります。ブックビルディングを行い世界中の投資家からオーダーを集め、顧客企業のために数百億円、大型案件の場合には1兆円を超えるような金額がその短期間で集まります

ニューヨーク、ロンドン、香港といった主要都市だけでなく、世界中の投資家から資金を集めるマーケットを体感することで、金融のダイナミズムを感じられます

文化や習慣、価値観の異なる人間がひとつの会社に集まりひとつの案件を目標にして、短期間の間に成果を出すのは投資銀行の仕事の醍醐味です。マーケティングが始まると案件が公表されるので、投資銀行部門の人間が直接、マーケット部門の人間と会話することもあります

クライアントは日本の企業であり、日本の事情などは海外のセールスには分かってもらえないだろうなという時でも、しっかりと説明をすると理解してくれたこともありました。突発的な事態にもすぐにニューヨークの同僚に連絡を取って、直ちに解決してもらったこともあります

日本の顧客を海外市場に連れていくクロスボーダーの案件ではいつも難しさを感じますが、One Teamで案件をやり遂げたときの達成感は格別です

2019年のラグビー・ワールドカップで日本代表が大活躍しました。その日本代表は、国籍も文化も違う、様々なルーツを持つ選手で構成されていました。多様性あふれる組織・チームが一丸となって結果を出すところは、投資銀行にビジネスにおいても通じるところがあると思います

そのため投資銀行で働くには多様性を受け入れる資質が必要となります

これは日系でも外資系でもクロスボーダーの案件に関わる部署にいけば感じられるでしょう

ストーリーがはまって案件が取れたとき

自分で担当顧客を持ち、自分の主導でピッチブックのストーリーを作り、案件が取れたときは格別です。チームで知恵を出し合い提案資料を作成しますが、この案件は自分だから取れたと自分自身で思えて、周りからも同じように思われる事があります。その瞬間は格別の達成感があり、自分の自信にもつながります

投資銀行が提供しているサービスは見たりさわったりすることはできません。顧客はあなた自身を見ており、あなたを通じたサービスを評価します。顧客から評価され、信頼を勝ち得たときはインベストメントバンカー冥利に尽きます

アナリストやアソシエイトのジュニアバンカーの間はなかなか活躍する機会は与えられないと思います。エクセルやパワーポイントに費やす時間が相当多いでしょう

エクセルやパワポが楽しいと思えるほうがおかしいです。出番が来るその時まで先輩バンカーの見習うべきところ、反面教師とすべきところをよく観察しておくべきです

いろいろあるけどサラリーマンでは最強

激務で辛いことの多い投資銀行ですが、そうはいってもサラリーマンの中では収入面では恵まれていると思います。サラリーマンの本質はある意味、自分の人生における貴重な時間の切り売りです

だらだら続けるよりも若いうちから全速力で働き、サラリーマンの中では高待遇の収入を得るのは悪くないと思います。この収入は他の業界ではなかなかもらえず、サラリーマンでは最強です

学生時代にそもそも明確に自分がやりたいことが分かっていれば、投資銀行以外の業界や仕事を選んでいると思います。やりたいことが明確になるまでは投資銀行で最大限に働き修行をするのもあながち間違いではない選択です

ワークライフバランスが悪すぎる

ワークライフバランスが悪すぎるのが投資銀行の仕事の欠点です。人によっては健康を損なう可能性もあります

「24時間、戦えますか」

90年ごろ、このフレーズをキャッチコピーとする栄養ドリンクのCMがテレビで流れていました。今思うとブラックかもしれませんが、24時間戦うノリで仕事をするのが投資銀行です

わたしはどこでも仮眠が取れました。タクシーで移動する15分間でも仮眠をとるとすっきりします。飛行機の国内出張はすごく好きでした。寝過ごすことがありうる新幹線と違って、飛行機は乗り過ごしの心配がないので熟睡できるからです

新幹線だと名古屋で降りるつもりが京都まで行ってしまうことがありえます。飛行機だとだいたい着陸の時の衝撃で目が覚めます

どこでも仮眠ができる体質のおかげで投資銀行の仕事は当時はそれほど苦には感じませんでした

最近は日系証券でも外銀でも働き方改革で労務管理はしっかり行うようになってきています。ここまで極端なことはなくなってきているはずです

実はブラック企業?

ブラック企業でググってみました。ブラック企業の特徴は以下の通りとのこと

  1. 長時間労働
  2. 休日が少ない・有給休暇が取れない
  3. 残業代が出ない・全額支払われない
  4. 従業員の入れ替わりが激しく離職率が高い
  5. 上司の命令には絶対服従
  6. パワハラやセクハラが多い
  7. やる気や情熱などの精神論がよく出てくる
  8. 給料が低く最低賃金を下回る

振り返ると8番目を除いて他の項目はすべて当てはまっていると思います

7の精神論については、次の話をよく聞きました

精神論の具体例

筋肉を鍛えるために腕立て伏せを10回やっても効果がない。100回やって初めて意味がある

腕立て伏せがきつくなってくる100回目を過ぎてから筋肉に効きだす。100回までは意味がないが、それでもやる必要がある

ピッチブック作りも一緒だ。10時間、20時間と考え続けろ。考え抜け

20時間経過したあたりから頭が冴え出しアイデアが出てくる。そこまでの20時間には意味がないがやる必要がある

不思議ですが提案資料の作成は追い込まれないと進みません。明日が締め切りとなるとアイデアが出てきてストーリーが膨らみ始め、いい資料ができると思います

他人に長時間労働を強制したり、他人から強制されたりすることはよくありませんが、長時間考え抜かないといいピッチブックは作れないというのは自分にはあてはまりました

無茶苦茶なことも多かったけど今振り返るといい思い出です

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