投資銀行で働いていると、この仕事を続けることに疑問を感じることが増えてきます。
「激務で競争的な環境で気持ちが休まらない」
「ワークライフバランスがなく、将来に希望が見えない」
「仕事が単調すぎる。社会的意義のある仕事がしたい」
「たまの休みでも何の気力で出てこない。鬱気味だ」
振り返ると、わたしも自分がジュニアバンカー時代は仕事を辞めたいと思うことは頻繁にありました。
自分自身の経験を踏まえて、
わたしがどのように辞めたい気持ちを乗り越えてきたのか。
どういう場合に次の職場でも成功するのか。
どういう人は今の職場に留まるべきか。
このあたりについて、お話ししていきたいと思います。
投資銀行ナビの運営者ラスカル(@raskal_ibnavi)はこんな人です
- 米系投資銀行で合計13年の業界経験あり
- 日系金融機関で合計10年の業界経験あり
- アジア通貨危機、通貨ユーロ誕生、ITバブル崩壊、リーマン破綻などを経験
- 留学経験あり
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投資銀行を辞めたい人の主な理由
スケールの大きい仕事を期待して入社した投資銀行ですが、意外と仕事は地味で単調です。
それでいて、プレッシャーは高く激務です。
ここでは投資銀行を辞めたい理由を紹介していきます。
あなたはいくつ当てはまりますか?
単調な仕事に飽きる・つまらなくなる
投資銀行の仕事は一度わかると単調に感じますよね。
FactsetやBloombergからデータをダウンロードしてきれいに表やグラフにまとめる。
こんなことの繰り返しです。永遠に続くんじゃないかと思えてきます。
まったく付加価値ないんじゃないか、と。
また、誤字・脱字・数字の間違いは投資銀行のピッチ資料では致命的です。
50ページ、100ページの提案書の誤字・脱字、数字のチェックを繰り返すのはジュニアバンカーの大事な仕事です。
数字が大事なのはわかっているけど、「いつまで続けるのか」とよく思いました。
仕事をやってるように見せるのがうまい人がのさばる
仕事をしているように見せることがうまい人はかなりのストレスです。
わたしは、がんばって2週間かけてA社向けの資料を作りました。残念ながらいろいろな要因があってA社の案件は今回獲得できませんでした。
決して資料や提案内容が悪かったわけではないと思ってます。
ところが、わたしが作ったA社向けの資料をとある先輩が社名だけB社に変えて提出しました。
その結果、B社の案件が取れることがあります。
わたしの資料を使ってほとんど何もしてないのにマンデートだけは巡り合わせで取ってくる。
先輩だから面と向かって言えないけど、
「それで仕事をした気になってんじゃねーぞ!」
「たまには自分でピッチを作ってみろ!」
と心の中でよく叫んでました。
みなさんもこのような経験はありますか?
うわべだけうまくやるお調子者がのさばってるのが個人的には一番つらかったです。
わかってないのに口出ししてきて、ひっかき回す上司
ただでさえ仕事が忙しいのに、物事を分かってない上司が口出ししてきて邪魔されることが多かったです。
- 分かってないのに大事なプレゼンで流れをぶった切るコメントをする
- 分かってないのにいきなり現場を飛び越えて先方の部長レベルに自分だけで提案を打ち込む
- 分かってないのに自分の存在感を示すためだけに提案書に無意味なコメントを出してきて皆の時間を無駄にする
こんなことはよくありました。
分かってない上司は以下の特徴があります。
- 基本的にマイクロ・マネジメント
- 細かい報告を求める
- 長時間の説教
- 管理ではなく監視
- 夜中や週末など時間帯に関係なく、メールをしてきて速やかな返事を求めてくる
- 日々部下を詰めるだけ
- 部下を本当に思っている人は自分も一緒に苦しむが決してそういうタイプではない
分かってない上司にあたってしまうと自分の成長機会がどうしても制限されてしまいます。
ワークライフバランスがあまりにも欠けている
投資銀行に勤めていて、一週間のうちで自分のために使える時間はどのくらいですか?
週末の土日はちゃんと休めてますか?
わたしはどこでも寝れるタイプなので、移動中のタクシーや電車の中で5分~10分の睡眠で体力を回復していました。
プライベートを犠牲にして働くことでキャリアを築くことができると当時のわたしは心底思って仕事をしていました。
また、アナリストのころはアソシエイトになれば少しは生活が変わるだろうと思ってました。
ですが、ある時、アソシエイトやバイスプレジデントの先輩を見てもそれほどライフスタイルに大きな変化がないことに気づきます。
キャリアの先がなかなか見えなくなってしまうことも、投資銀行を辞めたくなる理由の一つです。
辞めたい気持ちへの対処方法
辞めたい気持ちでいっぱいになったとしても、前向きに行動することで今の状況が改善されることもあります。
成功体験がきっかけで前向きになる
わたしはアソシエイトのころが投資銀行を辞めたいピークでした。
この辞めたい気持ちが大きく変わったのは、ある案件での成功体験がきっかけです。
顧客よりあるRFPが届きます。
このRFPは状況的に自社が勝てる可能性はゼロ、ライバル会社がほぼ当選確実というものでした。
プレゼンの準備をするのにも、下馬評では負け試合がほぼ確定しているため、社内の人間は積極的には協力してくれません。
そのような状況でしたが、せっかくのプレゼンの機会なので、わたしは自分なりの考察を行い、独自の視点で提案書を作り、顧客に提出しました。
その結果、なんとわたしの提案資料が顧客のど真ん中に刺さり、案件を自社単独で獲得することができました。
顧客と自分の人間的な相性みたいなものもあったのだと思います。
このことは社内だけでなく業界でも大きなニュースとなりました。
その時の高揚感は今でも覚えています。
案件自体もうまくデリバーすることができ、単独での案件のため収益性も高く、社内でも大きく評価されました。
自分の思うとおりに提案書を作ることができ、その提案書が顧客に響いて、提案書通りの結果を出すことができました。
この成功体験を積むことで自分の中での仕事のスタンスが変わりました。
仕事をやらされている感覚から仕事を能動的に行う感覚に自分の中で切り替わったと思います。
このような成功体験は自分から狙ってできるものではなく、たまたまの運と人との縁に恵まれての成功体験だったといま振り返っても思います。
プレゼンスキルやコーポレートファイナンスの知識の習得
前向きに行動することで今の状況が改善されることもあります。
たとえば、今の職場で学べることはしっかりと身につけておくことが大切です。
投資銀行は顧客にプレゼンする機会が多いです。
たとえ自分がジュニアバンカーだったとしても、このセクションだけは自分に説明させてほしいと上司に願い出ることはできます。
その上でプレゼンがどうだったか上司や先輩にフィードバックを求めることもできます。
またインベストメントバンカーに必須であるコーポレートファイナンスの知識はしっかりと身につけてください。
後でもっと勉強しておけばよかったと後悔しないように、与えられた環境の中でできることをやるのが大事です。
異動希望を出してみる
今の環境が自分に合ってない可能性もあります。
上司が信頼できる人であれば、異動の相談をするのもありです。
異動の希望のほかにも公募制度や社内副業制度など様々なキャリア支援制度が会社にはあると思います。
このような制度を有効活用するのも一つの手です。
ただし、希望が必ず通るわけではない点には注意が必要です。
転職を検討してみる=キャリアのオプションを確保する
投資銀行のアナリストやアソシエイトは転職市場では評価が高いです。
コーポレートファイナンスの知識だけでなく、ストレス耐性なども評価されます。
投資銀行業界でキャリアを続けるのもありですが、投資銀行を卒業して金融業界で活躍する人も多いです。
自分のキャリアにはどのようなオプションがあるのか。
これを知っておくだけでも精神的な余裕が違います。
ファイナンスでオプション理論をならったと思います。
オプションは行使する・しないに係わらず、一定の価値がありますよね。
自分のキャリア構築上のオプションを確保しておくことに価値があります。
オプションは持っているだけで精神的な余裕をもたらしてくれます。
必ずしもオプションを行使する=転職をする必要はありません。
転職をしてもいい人・今の会社に留まるべき人の違い
転職をしてもいい人は以下のような人です。
- 実績を買われて今より高い待遇(給料・ポジション)で転職する人
- これまでの実績を土台に新たなスキル・経験を獲得するために転職する人
- ワークライフバランスの改善を求めて転職する人
- 今の会社を円満退社できる人
一方でまだ転職するには機が熟しておらず、今の会社に留まるべき人は以下のような人です。
- 今の仕事で何の結果も出してない人
- 今の仕事が嫌だから転職する人
- 今の会社を円満退社できない人
一方でわたしが判断に迷うのは以下のような人です。
- 投資銀行業界の給与が高いため今の仕事を続けている人
高い給与がモチベーションとなって投資銀行業界で働き続けるというのはありだと思います。
一方で既に仕事に飽きているが他業界に行くと年俸水準が下がるので惰性で続けているのが本音という人の場合は、ある日突然、モチベーションが崩れることがあります。
すぐに転職をしないにしても、普段から自分のキャリア上のオプションは把握しておくとよいと思います。
キャリアのオプションを広げるために転職エージェントをうまく使うことをおススメ
自分のキャリアにはどのようなオプションがあるのか。
これを知っておくだけでも精神的な余裕が違います。
そのためにも転職エージェントを使うメリットは以下の通りです。
- 無料である(求職者の負担はゼロ)
- 業界の中で今どこの会社が人材を求めているのか、細かく把握している
- 自分が知らない業界の案件も紹介してくれる
- 年収・年俸・給与の相場を把握している
- 年収・年俸・給与交渉を採用側と行ってくれる
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