銀行員であることはかつてはあこがれのエリートコースでした。今でもメガバンクは人気に就職先に分類されています
仕事に何を求めるかは人それぞれですが、これからの時代を考えるとメガバンクに代表される商業銀行はオワコンと言われる理由を説明していきます
銀行員の特徴
銀行員は他の業界にはない特徴を持っています
どんな時でも集団で行動することが多いです
例えば、銀行員は必ず毎日チームメンバー全員でランチに行きます。自分だけ勝手に友人と昼食を取ることは許されません
ほとんどの人は毎日必ずランチを取ります。ランチを取ることは友人関係やネットワークを広げるのに絶好の機会なのですが、銀行ではチームのメンバーが全員そろってランチを取ります
仕事以外でもマージャンで集まったり週末にゴルフに行ったりなど、プライベートよりも職場の仲間を優先させる傾向があります
また次のような特徴もあります
銀行員は上司の前では発言をしません。たとえば、複数の部署が集まるミーティングに参加した時に、自分の部署から上司である部長、課長、自分が出席した時に、自分の部署からは基本的に部長しか発言しません。上席である部長の前で部下の課長や自分が発言することは極めて稀です
心理的安全性の対極にある恐れが銀行員を支配しています。心理的安全性(psychological safety)は、組織の中で自分の意見や感情をオープンに安心して発言できる状態のことを指しますが、銀行はその真逆の組織であり、口は災いの元です
日本のリーダーは今でも人前で原稿を読み上げてスピーチするケースを見かけます
学校でも会社でも先生や上司が話したことを正確に聞き取ることを重視してきた結果、どうしてもこうなってしまうのでしょう
これからは、人前で意見を表明し行動を促すようなプレゼン力、スピーチスキルが必要です
アメリカの大統領選挙で原稿を読み上げる候補者は見かけません
銀行に向いている人
銀行は定型業務をこなす農耕民族です
銀行の仕事の大半にはマニュアルがあり、マニュアル通りに正確に事務を行うことが求められます
決まった時期に種をまき、草むしりをおこない、時期が来たら収穫をする。状況に応じて柔軟に行うことも求められますが、基本的にはマニュアル通りです
投資銀行は非定型業務をこなす狩猟民族であるのとは対極的です。獲物はどこに逃げるかまったく予想がつかず、マニュアルが通用しない仕事です
毎年決まった時期に行われる田植え、稲刈りなど周りを見て真似していればそれなりに仕事になってしまうのが農耕民族です。農作業で例えましたが、このように銀行は定型業務が多いのがその特徴です
定型業務のほうが安心して仕事ができる人は銀行に向いていると言えます
銀行はメンバーシップ型の組織
銀行はメンバーシップ型の組織です。少しずつ変えようとしているのは分かりますが、マネジメントを担う経営層はメンバーシップ型の意識が抜けず、一方で若者はジョブ型の意識なので、組織のほうで下のほうばかりが入れ替わります
これは補充しないとまずいということで、銀行は中途採用に力を入れ始めている状況です
メンバーシップ型雇用は日本独自の雇用制度なので、このシステムにどっぷりはまるともう抜けられなくなります。ジョブ型と比べてどちらが良いか悪いかを論ずるよりも、自分のキャリアや適性を考えて選択するべきと思います
メンバーシップ型雇用の組織は終身雇用が基本であり、結果よりもプロセスで評価されます。一生懸命頑張ったかどうか、プライベートを犠牲にして会社に貢献したかが評価の軸です。そのため、残業時間という考え方があります。深夜や週末など人が働いてないときに働くことが美徳とされます
銀行で金曜の夕方になると活をいれるために大声で怒り出す管理職はいませんか?週末も気を抜くんじゃないぞと部長の前でこれみよがしにアピールする副部長とかよく見ますよね
現在、政府が賃上げを要請し、一部の大企業が賃上げに応じるような報道がなされています
賃上げ要請で一律〇%アップというのは、メンバーシップ型雇用から出てくる発想ではないかと思います
スキルや経験を積み、キャリアを磨くことで自ら給料を勝ち取っていくのがジョブ型の考え方ではないかと思います
ジョブ型志向には投資銀行をおすすめ
銀行(メガバンク等の商業銀行)と投資銀行の特徴を比較してまとめると以下の通りです
- 銀行(商業銀行):メンバーシップ型雇用、定型業務、農耕民族
- 投資銀行:ジョブ型雇用、非定型業務、狩猟民族
終身雇用がなくなると言われる中、信じられるのは大企業に勤めることではなく、仕事を通じて身に着けたスキルや経験なんだと思います。スキルや経験を積んでいくにはジョブ型雇用の組織で働くほうが効率的です
メンバーシップ型雇用の組織では人の入れ替わりがないため仕事が標準化されていません。メンバーシップ型の組織で身に着けたスキルは、えてしてその組織でしか通用しないスキルになってしまいます
一方で転職が当たり前で人の出入りが多い組織では仕事のノウハウが外部から移植されるので、業界の中で仕事のやり方が標準化されます。そのため会社を変わる=転職するスイッチングコストが低くなります
ジョブ型雇用の組織で働くキャリア志向を持つ人にとって、銀行(商業銀行)はオワコンであると言わざるをえない状況になってきています
銀行も変わろうとしてるし、変わりつつあります。ただ、その変化のスピードとジョブ型雇用の組織で働くことで得られるラーニングカーブのどちらがスティープなのかは考える必要があると思います