国際的な金融専門誌IFRの2023年アワードにおいて、これまでバルジブラケットが独占してきたアワードを日本のみずほフィナンシャルグループが獲得した。
アワードにはいくつかの部門があるが、これまで外銀が独占してきたNorth America Investment-Grade Corporate Bondにおいて日系投資銀行が受賞したことは金融業界における近年の地殻変動を感じさせるできごとともいえる。
IFR(International Finance Review)とは?
IFRはInternational Finance Reviewの略であり、ロンドンに本社がある国際的に権威ある金融専門誌である。
投資銀行、証券会社、外銀に勤めているものであれば一度は目にしたことがある雑誌であり、毎週発行されており、投資銀行ビジネスに関するディール関連の記事が充実している。
歴史は古く設立は1974年であり、以前はトムソン・ロイター社の関連会社であったが、現在はロンドン証券取引所グループ(LSEG)であるRefinitiveの子会社となっている。
2023年 IFRアワード – Top Awards
IFRのWebsiteのリンクを貼っておくので興味のある人はぜひ見てもらいたい。
様々な部門での受賞に関する記事を見ることができる。
Top Awardsの一覧を見てみると以下の通り。
欧米のバルジブラケットが独占していることがわかる。
Bank of the Year | Morgan Stanley |
Bond House | BNP Paribas |
Equity House | Barclays |
Loan House | JP Morgan |
Erivatives House | Bank of America |
Emerging Markets Bond House | Citigroup |
ESG Financing House | BNP Paribas |
M&A Advisors | JP Morgan |
Restrucuring Adviser | PJT Partners |
Capital Markets Adviser | KKR Capital Markets |
Bank for Financila Institutions | Morgan Stanley |
Bank for Goverments | HSBC |
Bank for Financial Sponsors | JP Morgan |
Bank for Sustainnability | Societe Generale |
US Diversitty and Inclusion House | Loop Capital Markets |
2023年 IFRアワード – Bonds Awards
Top Awards以外にも分野ごとにアワードは細分化されている。
債券の分野であるBonds Awardsの受賞一覧は以下の通り。
US Bond House | Citigroup |
US Bond | Pfizer’s US$31bn eight-tranche bond |
Yankee Bond House | Barclays |
Yankee Bond | UBS’s US$3.5bn AT1 |
Reverse Yankee Bond House | Societe Generale |
Reverse Yankee Bond | IBM’s Euro8.1bn-equivalent five-tranche bond |
Euro Bond House | Credit Agricole CIB |
Yen Bond House | Mizuho Securities |
Yen Bond | Sumitomo Mitsui Financial Group’s JPY140bn dual-tranche AT1 |
Sterling Bond House | NatWest Markets |
Sterling Bond | Vattenfall’s 250m pounbd green hybrid |
Swiss Franc Bond House | UBS |
Swiss Franc Bond | Sansoz Group’s SFr750m dual-tranche bond |
North America Investment-Grade Corporate Bond House | Mizuho Financial Group |
North America Investment-Grade Corporate Bond | Taspestry’s US$6.1bn-equivalent eight-tranche bond |
Europe Investment-Grade Corporate Bond House | BNP Paribas |
Europe Investment-Grade Corporate Bond | Robert Bosch’s Euro4.5bn four-tranche bond |
このように債券(DCM)の分野が各マーケットや通貨によって細分化されており、それぞれのアワードにおいて証券会社やディールがアワードに選定されている。
特筆すべきはNorth America Investment-Grade Corporate Bond Houseを受賞したみずほフィナンシャルグループであろう。
北米の事業会社の社債引受けにおいて、日系証券が受賞するのは知る限り初めてである。これは画期的なことと言えるだろう。
アワードについて
IFRに限らず様々な情報ベンダーがこのようなアワードを発表している。
日本でも日経ヴェリタスが同様のアワードを発表している。
基本的に外銀に勤めている人間はアワードが取れたかどうかは気にしてない。アワードの受賞よりも稼いだ金額の方が大事だからだ。
またIFRからしても証券会社は雑誌の購読者であるので、幅広いアワードを設定し多くの証券会社を受賞させたニーズがある。
ただアワードを実力・実績が伴ってい証券会社に対して乱発するようであると、アワードの権威や価値が下がることになる。
そういう意味では、みずほFGがNorth America Investment-Grade Corporate Bond Houseを受賞したことは近年のグローバル・ビジネスに力を入れてきたことが市場全般に広く認められた結果であり、非常に意義深いことであると考える。