ここではBofA証券について解説します。
バンク・オブ・アメリカの特徴・歴史
バンク・オブ・アメリカ(Bank of America Corporation: BofA)は、アメリカ合衆国ノースカロライナ州シャーロットに本社を持つ金融機関です。
歴史は古く、現在のBofAの母体となっているマサチューセッツ・バンクは1784年に業務を開始しています。1998年にノース・カロライナ・ナショナル・バンクが多くの金融機関を吸収合併し、現在のバンク・オブ・アメリカ・コーポレーションにつながっています。
シティグループ、JPモルガンチェースと並び、BofAは、大きな商業銀行部門を持つアメリカの3大メガバンクであると言えます。
BofAによるメリルリンチの買収
メリルリンチ(Merrill Lynch)はかつてゴールドマン・サックス、モルガンスタンレーに並びアメリカの3大投資銀行のひとつでした。
1914年にチャールズ・メリルがニューヨークのウォール街で営業を開始し、その後、エドモンド・リンチが参加し、商号がメリルリンチとなりました。1971年には株式が公開され、1972年にはメリルリンチ証券会社東京支店を開設しています。
2007年の世界金融危機でメリルリンチは巨額の損失を計上することとなり、赤字に転落します。2008年9月にバンク・オブ・アメリカによるメリルリンチの救済買収が発表され、社名がバンクオブアメリカ・メリルリンチとなりました。
その後、ブランド名がバンク・オブ・アメリカに統一され、グローバル・マーケッツ、投資銀行、資本市場などの投資銀行業務はBofAセキュリティーズのブランド名で事業展開しています。BofAはメリルリンチの買収によって証券業・投資銀行業務に本格進出する契機となりました。
バンク・オブ・アメリカの5つのビジネス・セグメント
BofAでは、5つのビジネス・セグメントにしたがって事業が展開されています。
Bank of America Corporation Form 10-K 2022
順に見ていきます。
・Consumer Banking
Consumer Bankingは主に米国内で展開しているDepositsとConsumer Lendingから構成されています。チェッキング・アカウントやセービング・アカウントや投資性商品も提供しています。ATMや投資商品のブローカレッジなどで手数料を生んでいます。Merrill Edgeと呼ばれる電子プラットフォームを通じて投資アドバイス資産運用サービス、銀行サービスなどを提供しています。
またデビットカード、クレジットカード、住宅ローン、ホームエクイティ・ローン自動車ローンなど個人向け貸付業務も行っています。
・Global Wealth & Investment Management
GWIMはMerrill Wealth ManagementとBank of America Private Bankの2つの事業があります。
Merrill Wealth Managementは、投資資産が25万米ドル以上の顧客にフォーカスしアドバイザリー・投資運用サービスを通じたhigh touch client experienceを提供しています。
Bank of America Private Bankは富裕層・超富裕層に特化して顧客ニーズに合わせたテーラーメイドで包括的な資産運用サービスを提供しています。
・Global Banking
Global Bankingは、Global Corporate Banking、Global Commercial Banking、Business Banking、Global Investment Bankingの4部門で構成され、顧客ニーズに応じた貸付、最適資本構成、財務・資金管理サービスを提供しています。
大まかにいうと、Global Corporate Bankingが大企業や大手金融機関をカバーし、Global Commercial Bankingが中規模の企業や商業用不動産企業、NPOなどを担当しています。Business Bankingは米国内の中堅企業に対して金融アドバイス・サービスを提供しています。
Global Investment Bankingはいわゆる投資銀行部門になります。通常のECMやDCMの引受け、M&Aアドバイザリーに加えて、ローンなどの貸付も行っています。
・Global Markets
Global Marketsはセールス&トレーディングおよびリサーチの機能尾を機関投資家に対して提供しています。対象は債券、クレジット、通貨、コモディティ、株式などが含まれます。
マーケットメイク、ファイナンシング、証券決済、カストディなどをグローバルに投資家に提供しており、顧客ニーズに応じた運用サービス、リスクヘッジなどをアドバイスしています。
・All Other
BofA全体のALM(Asset Liability Management)や過去の不採算事業の清算などが計上されるセグメントです。
日本におけるバンク・オブ・アメリカ
BofAは2つの法人を通じて事業を行っています。
エンティティ | 事業内容 |
---|---|
BofA証券 | 投資銀行 |
バンク・オブ・アメリカ・エヌ・エイ 東京支店 | 商業銀行 |
BofAよりもメリルリンチがかつては日本において存在感がありました。
1972年にメリルリンチ証券は東京支店を設立しています。日本の四大証券の一角だった山一証券が1997年に経営破綻し、メリルリンチが山一証券の支店網と営業マンを引き継ぎました。リテール業務にフォーカスしたメリルリンチ日本証券が設立されましたが、ITバブル崩壊をきっかけに2002年にはリーテル業務を富裕層・中小企業に特化する方向で事業を変更します。
2009年にメリルリンチがBofA傘下となり、2020年にBofA証券に名称変更されています。
メリルリンチはゴールドマン・サックスやモルガン・スタンレーと並ぶ米系投資銀行の一角であったのですが、現在はシティグループ、JPモルガンチェースのような商業銀行系の投資銀行部門となりました。
シティグループやJPモルガンチェースと比べるとバンク・オブ・アメリカとしての日本での存在感は低い印象に思われることが多いですが、日本企業とのコネクションはしっかりあると思っています。BofAとしてのブランド強化が今後の課題と思います。
BofA証券(旧メリルリンチ)投資銀行部門の強み
BofA証券はセクター毎にしっかりとしたバンカーがおり、M&A案件やECM・DCMといったファイナンス案件でも存在感を発揮しています。日本企業が絡むクロスボーダーのM&Aでは広範な顧客基盤もあり、日本側ではないサイドで関わることも散見されます。
メリルリンチの時に培ったノウハウ・経験・人員が引き継がれており、投資銀行としての総合力は高く、ライバル会社の立場からすると手ごわい相手と言えます。
BofA証券 IBDの年収・給料・激務度
外資系証券の待遇はよいですが、その代わりにかなりの激務です。通常の2倍の給料で3倍働くような職場環境です。
所属する部門や部署に加えて個人のパフォーマンスに左右されますが、BofA証券の年収・給与は外銀の中でも上位に位置すると考えてよいと思います。
ざっくりとしたイメージは下記のとおりです。最近は年によってブレ幅が大きくなっていると聞きます。
略称 | タイトル | 年齢イメージ | ベース給 | インセンティブ給 |
---|---|---|---|---|
AN | アナリスト | 22~27歳 | 600~700万円 | 300~400万円 |
AS | アソシエイト | 25~35歳 | 1,000~1,200万円 | 800~1,000万円 |
VP | バイスプレジデント | 28~40歳 | 1,300~1,600万円 | 1,300~1,800万円 |
D | ディレクター | 32~43歳 | 2,000万円~ | 2,000万円~ |
MD | マネージングディレクター | 35~50歳 | 2,000万円~ | 3,000万円~ |
BofA証券の入社難易度
BofA証券の入社難易度は極めて高いです。エントリシートや面接の対策などはしっかりと行ってください。
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