この記事ではゴールドマン・サックスについて解説していきます。
ゴールドマン・サックス(GS)の特徴・歴史
ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インクは米国に本社を持つ世界有数の金融グループです。
ゴールドマンの歴史は古く、1869年にユダヤ人のマーカス・ゴールドマンが信用手形引受を始めたことが始まりです。
GSの事業は、Global Banking & Markets、Asset & Wealth Management、Platform Solutionsの3つのセグメントに分かれています。
Goldman Sachs 2022 Form 10-K より
順番に説明していきます。
・Global Banking & Markets
Global Banking & Marketsは公的部門、民間部門の顧客を持ち、企業、政府、州・地方自治体などと長期的な関係を築くことを目的にしています。アドバイザリー業務、有価証券の引受業務に加え、債券、為替、コモディティ、株式などのマーケットメイク業務も行っています。またグローバルに3,000を超える企業をカバーするリサーチ業務もこのセグメントに含まれます。
Investment Bankingでは、企業買収、投資撤退、企業防衛、企業再編・スピンオフなど幅広い分野のアドバイザリー業務で市場のリーダーとしての地位を確立しています。
また株式引受、債券引受などのキャピタルマーケット業務も投資銀行ビジネスにおける重要なRevenueを構成しています。
FICC(Fixed Income, Currency and Commodities)は、金利商品、クレジット商品、モーゲージ、為替、コモディティなどの売買仲介を行っています。コモディティには原油、天然ガス、農業生産物、電気などが含まれ、現物も扱っています。
Equitiesは、株式および株式関連商品を扱っており、ETF、転換社債、オプション、先物、店頭デリバティブなどが含まれます。
・Asset & Wealth Management
Asset & Wealth Managementは、顧客の金融資産の運用をサポートしています。顧客の目的に応じて様々な投資戦略を採用しており、扱う商品は株式、債券、オルターネイティブと多岐にわたり、オルターネイティブ運用には、ヘッジファンド、クレジットファンド、プライベートエクイティ、不動産、為替、コモディティなどのアセットクラスが含まれます。
また、Private Bankingはこのセグメントに含まれます。富裕層に対する資産運用業務を行っています。
・Platform Solutions
クレジットカード業務およびTransaction Banking(資金管理・決済業務)を行っています。企業や法人顧客からの預金受入業務を行っています。
ガバメント・サックス
ゴールドマン出身者が米政権で要職につくことは多く、ガバメント・サックスと称されることもあります。過去に複数回、アメリカ合衆国財務長官(United States Secretary of the Treasury)を輩出しています。
日本におけるゴールドマン・サックス
日本では1974年に東京駐在員事務所を開設して以来、投資銀行業務、証券業務、資産運用業務を展開しています。主要なエンティティは以下の通りです。
エンティティ | 事業内容 |
---|---|
ゴールドマン・サックス証券株式会社 | 投資銀行 |
ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント株式会社 | 資産運用 |
ゴールドマン・サックス・バンクUSA東京支店 | 商業銀行 |
多くの外資系金融機関が日本においてビジネスをしていますが、東京拠点はグローバルな金融機関の出先機関ぐらいの位置づけにとどまっている先も多いです。
ですが、ゴールドマン・サックスについては日本のしっかりと根付いてビジネスを展開していると言えます。
日本の公的年金積立金の管理・運用を行うGPIF(Government Pension Investment Fundの略、年金積立金管理運用独立行政法人)の運用受託機関にゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントは名を連ねています。
ゴールドマン・サックス投資銀行部門(IBD)の強み
ここではゴールドマン・サックス投資銀行部門の強みについて解説していきます。
徹底した合理主義で金儲けに強い
ゴールドマン・サックスは徹底した合理主義で知られており、金儲けに卓越したブランドイメージがあります。
リーマンショックの際には、投資銀行が相次いで破綻や救済合併される中、相場の逆張りをすることで独り勝ちをしたり、日本の不良債権ビジネスやプライベートエクイティでも自己勘定での投資を行うことで、結果を出したりしています。
組織として俊敏な判断を下せるのはゴールドマンの強みであり、組織が肥大化することなく常にスリムであるからこそできることと言えます。リーテル向けの業務は行わず、ホールセール向けに特化していることも組織が肥大化しない一因です。
投資銀行部門のM&A関連業務、資金調達関連業務に加え、自己勘定投資関連業務で一定の成果を出すことで、ゴールドマン・サックスは同業他社とは一線を画しています。
2000年代は不良債権への投資でしたが、2010年代以降は太陽光などの再生エネルギーで名前がよく聞かれます。
ゴールドマンが国内で太陽光ファンド 住友生命など出資
米ゴールドマン・サックス・グループはこのほど、日本の太陽光発電所に投資するファンドを設立した。住友生命保険など機関投資家8社から計310億円を集め、組み入れ資産は総額約1200億円となる見込み。ESG(環境・社会・企業統治)に関心の高い投資家を呼び込み、運用収益の拡大につなげる。
ゴールドマンが国内で太陽光ファンド 住友生命など出資 – 日本経済新聞 (nikkei.com)
日本企業以上に日本企業っぽいカルチャー
ゴールドマン・サックスは日本企業のような企業カルチャーを持っています。
外資系、特に米系の中でも体育会系のカルチャーであり、上司が右を向けと言ったら全員が右を向くような組織です。軍隊的な組織であり、チームプレーヤーが求められます。
またGSは外銀の中でも新卒の割合が多くなっています。
新卒を大事にしている面ももちろんありますが、外資系投資銀行の中でも際立ったカルチャーを持つため、結果的に中途よりも新卒の定着率が高くなっている模様です。
ゴールドマン・サックス IBDの年収・給料・激務度
ゴールドマン・サックスの投資銀行部門は業界でもトップクラスの待遇です。
ジュニアの時はほぼレンジ内に収まると思いますが、VPより上は所属する部署、個人の成績のウェイトが大きく高まる傾向にあります。
略称 | タイトル | 年齢イメージ | ベース給 | インセンティブ給 |
---|---|---|---|---|
AN | アナリスト | 22~27歳 | 600~800万円 | 300~500万円 |
AS | アソシエイト | 25~35歳 | 1,000~1,200万円 | 800~1,000万円 |
VP | バイスプレジデント | 28~42歳 | 1,300~1,800万円 | 1,300~2,500万円 |
MD | マネージングディレクター | 35~50歳 | 2,000万円~ | 3,000万円~ |
仕事内容は激務です。競合他社との競争に勝ち抜いてくと同時に社内のプレッシャーも高く、フィジカルとメンタルの両面でのタフネスが求められます。
ゴールドマン・サックスの難易度
外銀の中でも特にゴールドマン・サックスの入社難易度は高いです。
入社に際してはGSらしさがあるかどうかも見られています。GSらしさとは学歴としての頭の良さに加えて、清潔感のある身だしなみ、などです。美男美女と言われる人たちが多い印象です。
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