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デットキャピタルマーケットの特徴、メリット・デメリット【未経験の転職も】

〇投資銀行の基礎知識
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投資銀行は慢性的に人手不足であり、常に優秀な人材を求めています。その中でもデットキャピタルマーケット(DCM)は顧客数・案件数が多いことから相応の人数を必要としている部署です

投資銀行部門(IBD)の中でも転職エージェントやヘッドハンターから紹介されることの多いDCMの仕事内容について、特徴やメリット・デメリットについて解説します

DCMはIBDの中でも大所帯

DCMは投資銀行部門の中でも特に人数が多く大所帯の部隊です。日系証券の場合、ECM(エクイティキャピタルマーケット)は20~40名程度の陣容ですが、DCMは60~80名程度の体制となっているイメージです

債券を発行して資金調達を行う発行体には以下の種類があり、発行体の数は膨大です

  • 地方自治体(都道府県や政令指定都市が地方債を発行)
  • 政府系機関・公的機関(政府系機関や特殊法人等が財投機関債を発行)
  • 金融機関(銀行や保険会社が社債を発行)
  • 公益企業(電力・ガス・鉄道会社が社債を発行)
  • 一般事業会社(一般企業が社債を発行)
  • 学校法人(大学等が大学債を発行)
  • 非居住者発行体(海外の企業が円建てで社債を発行)

担当するセクターにもよりますが、ひとりのDCMバンカーが4-5社から多い場合で40-50社を担当します。担当する発行体の中でも2-3年に1回しか社債を発行しない企業もあれば、定例発行体(Frequent Issuer)になると年に5-6回の社債を発行することもあります

ECMプロダクトは10年、20年に1回発行されるかといった発行の頻度と比べると、DCMプロダクトは案件数が多いため、IBDの中でも大所帯となっています

DCMの仕事内容はこちらの記事でも解説しています

【投資銀行部門】デットキャピタルマーケット(DCM)の仕事内容

DCMはまじめにこつこつタイプが報われる仕事

DCMはまじめにこつこつタイプが報われる仕事と言えます

投資銀行の仕事は投資銀行部門でもマーケット部門でも、いかに他者を出し抜いて競争に打ち勝つかが大事なポイントですが、DCMでは少し趣きが異なります。これには2つの理由があると思います

DCMはすでにコモディティ化している

コモディティ化とは、競合する商品・サービスの中で、商品やサービスを提供する者の間で、性能・品質・創造性・ブランドなどに差異や特徴がなくなることを意味し、簡単に言うと、「どこの会社でも似たり寄ったり」の商品・サービスになることです

DCMの仕事はコモディティ化しています。これは、ある企業が社債を発行するときに、A証券に頼んだほうがB証券にお願いするよりも、資金調達コストが安く済むといったこは起きない、ことを意味しています

A証券に頼んでもB証券のどちらにに頼んだとしても、社債の発行を引受けた証券会社が社債を売り込みにいく投資家は同じであり、最終的に社債をいくらで買うのかを決めるのは投資家であるからです。なので、どこの証券会社に頼んでも基本的には社債発行コストに差は出ません

これはマーケット部門にもあてはまります。ある金融商品を買おうとしたときにA社とB社で値段に差がありA社のほうが安かったら、投資家はA社から買います。A社から買うのとB社から買うのに値段以外に差はないからです

コモディティ化してるからこそ、バンカーの腕の見せ所

DCMはコモディティ化していると説明しました。商品やサービスそのものでは差別化ができないが故に、バンカーの営業のやり方次第で差別化できる余地が大きいのがDCMの仕事です

現実のDCMのビジネスでは、担当するバンカー次第で成績に差が出てきます。ここがDCMの仕事のおもしろいところであり、どこの会社でやっても結果が変わらないにもかかわらず、連続して主幹事を獲得するような語り継がれる伝説のバンカーの話が聞けるのも、DCMならではです

DCMは顧客との長期的な信頼関係が大事

DCMバンカーには新規営業を求められることはなく、ほとんどの場合はすでに社債を発行したことのある企業に対する営業であり、その企業は1回だけでなく何度も社債を発行することとなります

そのため、1回だけサービスを売り切って終わりではなく、顧客に対する営業・顧客との関係は半永久的に続きます

10年、20年に1回しか起きないECMプロダクトの場合、顧客は担当バンカーの力量を見極める術もなく、会社のブランドや過去の実績で主幹事証券会社を選びがちです

対して、DCMプロダクトの場合は、年に何度も社債を発行する機会があるので、企業はどのDCMバンカーがその場限りの営業トークをしていて、誰が信頼に足るDCMバンカーなのか学習する機会があります

1回限りのサービスを売り切って終わりではなく、営業が繰り返されるところが他のプロダクトとの違いであり、DCMは長期的な顧客との信頼関係が大事となる所以です

そのため、たとえ口下手であったとしても顧客のために一生懸命に考え抜く、目立たないとしてもこつこつ頑張る人が顧客に信頼される傾向にある点がDCMは他のプロダクトとはやや異なると思います

債券は数字で説明するロジカルな世界

債券の世界は株式と異なり数字でロジカルに説明する傾向にあります

将来性・成長性が期待される株式とは異なり、債券はキャッシュフローの支払い確実性が重視されます。株式ではカリスマ経営者が雄弁に会社の将来ビジョンについて語ることで株式投資家から資金を集めますが、債券の世界はそうではありません。既存の事業から生み出されるキャッシュフローの過去実績があり、それが今後も維持されるかどうかが重視されます

言葉も大事ですが債券の世界では数字も同じように重視されます。顧客企業が債券投資家から資金を調達するために、数字を重視しロジカルに説明したクレジットストーリーの作成サポートもDCMバンカーの重要な仕事のひとつです

未経験でも採用可能性あり

投資銀行の業界時代が慢性的に人手が足りない状況ですが、DCMはカバーする顧客が幅広く案件数も極めて多いため、DCMバンカーのポジションは恒常的に空きがある状況です。特にアナリスト、アソシエイトなどの若手のポジションであれば、ほぼ常に募集しています

アナリスト、アソシエイトなどのジュニアバンカーのポジションは未経験であっても採用される可能性はあり、ジュニアに求められる素養としては、

DCMジュニア・バンカーに求められる素養
  • 信頼できる人格の持ち主か
  • パワポ・エクセルの基本的なスキル
  • 営業マインド(人と話すのが好き)
  • こつこつと積み上げる仕事ができる
  • マクロ経済や金利・株式・為替の市場動向への関心

以上があげられます

未経験であっても比較的門戸が開かれているのがDCMの特徴です。営業マインドがあり真面目に努力できる人であれば結果はついてくると思います

ぜひ興味のある人は挑戦をしてみてください

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