【IBD必須】エクイティ・クレジット・サステナブルの3つのストーリー

〇投資銀行の基礎知識

企業が金融市場や投資家を含む外部のステークホルダーとコミュニケーションを取るときに3つのストーリーで自社の戦略を語ります。エクイティ・ストーリー、クレジット・ストーリー、サステナブル・ストーリーの3つを相手に合わせて使い分けます

投資銀行は顧客企業のバランスシートのニーズに応える仕事です。これから説明する3つのストーリーをバランスシートに当てはめると以下のように整理できます

企業のバランスシートのイメージ
エクイティ・クレジット・サステナブルの3つのストーリー

投資銀行で働くと、必ずこの3つのストーリーの提案をすることになるでしょう。場合によってはインターンでも課題になるかもしれません。ここでは投資銀行で働くのに必須である、エクイティ、クレジット、サステナブルの3つのストーリーの違いについて解説します

エクイティ・ストーリーとは?

エクイティ・ストーリーとは、エクイティ・ファイナンスを行う企業が、株式投資家に対して説明を行う際のストーリーです。ECM(株式資本市場部)が担当するプロダクトである、IPO、公募増資、転換社債の発行などが予定されている企業に対して、カバレッジとECMバンカーが協力してエクイティ・ストーリーを作成します

エクイティ性の資本調達を検討している企業に対して、提案する段階でエクイティ・ストーリーも必ず提案書に盛り込みます。エクイティ・ストーリーの内容や納得感などで顧客企業は主幹事証券を決めることが多く、提案書の中で極めて重要なパートになります

エクイティ・ストーリーの特徴

株式投資家に向けて、会社の強みや特徴、企業価値の増大に向けた成長戦略などを語りかけるのがエクイティ・ストーリーです。カリスマ経営者が将来に向けた壮大なビジョンを語り投資家から資金を集めるイメージがあると思いますが、エクイティ・ストーリーは将来性・成長性を強調して作成されます

クレジット・ストーリーとは?

クレジット・ストーリーとは、デット・ファイナンスを行う企業が、債券投資家に対して説明を行う際のストーリーです。DCM(債券資本市場部)が担当するプロダクトである、社債、劣後債などの発行を予定している企業に対して、カバレッジとDCMバンカーが協力してクレジット・ストーリーを作成します。クレジット・ストーリーはデット・ストーリーと言われることもあります

初めて社債を発行するデビュー債や海外投資家に初めて売りに行く外債の場合にはクレジット・ストーリーは入念に準備します。エクイティ・ストーリーの場合と同様に、いかに説得力のあるクレジット・ストーリーを提案できるかどうかが、マンデート獲得に向けた勝負となります

頻繁に社債を発行する企業の場合は、クレジット・ストーリーを社債の発行の度にアップデートするということはあまりありません。企業の信用力に変化が生じた場合にクレジット・ストーリーをアップデートする程度です

クレジット・ストーリーの特徴

債券投資家に向けて、会社の強みや特徴に加えて、債務返済の確実性、キャッシュフローの安定性、財務規律などを説明するのがクレジットストーリーです。エクイティ・ストーリーとは異なり、成長性よりもキャッシュフローの確実性や安定性が重視されます

エクイティストーリーの場合は新規投資をがんがんやって企業を成長させていく!といったストーリーで説明しますが、同じように債券投資家に説明するとびっくりしてしまうので、説明の仕方は変える必要があります

サステナブル・ストーリーとは?

持続可能な社会に向けて、企業としてどのような取り組みを行っていくのかを説明したものがサステナブル・ストーリーです

単にお金を儲けていれば投資家に配当や利息を払うだけでなく、持続可能なビジネスモデルに基づいて収益をあげていけるのかを問われています。自社の商品がよく売れていたとしても、製造過程において多くの二酸化炭素を自社工場で排出しているとしたらそれは持続可能ではないからです

企業はビジネスを維持・発展していくために有形・無形の資産を抱えていますが、その資産が持続可能なものかどうかをサステナブル・ストーリーにおいて説明してく必要があります

以前からCSRという考え方がありました。CSRは、利益だけを追い求めるのでなく、環境活動やボランティア、寄付活動など企業としての責任を持って社会貢献へ取り組むという考え方です。CSRから一歩踏み込んだのがサステナビリティと言えます

日本は、2030年に温室効果ガス排出量を2013年比で46%削減、2050年に完全なカーボンニュートラルを実現することを目標にしています。政府が定めたこの目標に対して企業としてどのように取り組んでいくのかを説明することが求められます

自動車会社などがガソリン車から電動自動車に移行していく戦略を発表しているのは分かりやすい事例と思います

まとめ

エクイティ・ストーリー、クレジット・ストーリー、サステナブル・ストーリーについてまとめました

サステナブル・ストーリーは最近出てきた考え方ですが、その重要性はますます高まっていくと思います。株式・債券を問わず投資家は企業の事業やビジネスモデルの持続可能性に着目しており、説得力のあるサステナブル・ストーリーの作成支援は投資銀行のカバレッジやECM・DCMバンカーにとって必要となるスキルセットです

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