米銀大手のシティグループに関する組織再編の報道が聞かれています。
2023年9月から11月にかけて報じられたヘッドラインをまとめると以下の通りです。
- シティグループ、大規模再編の一環で20日にも人員削減開始-関係者
- 米シティグループ、欧米で幹部交代 数千人レイオフも=関係筋
- 米シティグループ、主要事業従業員の最低10%削減も=CNBC
- シティ、過去20年で最大規模の組織再編-人員削減も準備
シティの組織体制はどのように変わるのか
シティグループのフォーム10-Kによると、2022年12月時点の組織体制は以下の通りです。
大きく分けて企業や機関投資家を相手にするICGとリーテル・富裕層を顧客とするPBWM、レガシー事業(過去の遺産)の3つのセグメントがあります。
これに加えて、財務やオペレーション、ITなどのコーポレート部門の4つで構成されています。
出所:Citigroup Inc. 2022 Form 10-K
これに加えて、下記の4つの地域に分けて事業が運営されています。なお、米国、カナダ、プエルトリコはNorth Americaに、メキシコはLatin Americaに、日本はAsiaに含まれます。
出所:Citigroup Inc. 2022 Form 10-K
2023年3Qの決算発表資料によると、2023年4Q決算発表から以下のセグメントに従って、決算が公表されるようです。
出所:Third Quarter 2023 Earnings Results Presentation
この組織再編は意思決定の迅速化が目的のひとつであり、資金決済や証券預かり業務を行うServices、債券や株式を取り扱うMarkets、投資銀行業務及び商業銀行業務を担うBanking、富裕層向けサービスのGlobal Wealth Management、米国内のリテール銀行業務のUS Personal Bankingの5つに再編され、それぞれに事業部門責任者が置かれる予定です。
人員削減の規模は数千人になると報道されてますが、シティの従業員数は2022年12月末で24万人近くおり、全体の数パーセントの規模でも千人単位となります。
縮小傾向にあるシティの海外リテール事業
かつては、“Citi never sleeps”と言われていました。
シティのネットワーク・支店網はグローバルに張り巡らされており、地球上のどこかで必ずシティの窓口は空いている。
そのためシティが眠ることはないという意味です。
グローバルなリテール網はシティの強みでしたが、いまは完全に足かせとなっており、日本では2015年にリテール事業であるシティバンク銀行を三井住友フィナンシャルグループに売却しています。
日本以外でもオーストラリア、中国、韓国などのアジア環太平洋地域およびメキシコのリーテルバンキングからも撤退している、あるいは撤退することを発表しています。
人員削減は財務や人事、オペレーション、ITなどのバックオフィス機能が中心となる見込みであり、投資銀行業務や商業銀行を行う、いわゆるフロント部門への影響はさほど大きくない見通しです。