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【今さら聞けない】投資銀行と証券会社の違いを徹底解説

投資銀行と証券会社の違いについて解説 〇投資銀行の基礎知識
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投資銀行と証券会社の違いはよく聞かれる質問です。

投資銀行も証券会社も株式や債券という金融商品を扱っている点は共通していますが、証券会社は駅前に支店がありますが投資銀行を街中で見かけることはありません。

投資銀行と証券会社の違いについて、ここでは徹底解説していきます。  

そもそも証券会社とは何か

そもそも証券会社とは何なのでしょうか?ここからまず説明します。

証券会社は直接金融の担い手である

証券会社は直接金融の担い手であることを説明します。

証券会社は銀行と同じように金融仲介機能を担っています。金融仲介機能とは資金が余剰している先から資金が不足している先に対して仲介することを意味します。

証券会社はこの金融仲介機能を担っていますが、特に直接金融と言われます。企業は証券会社を通じて債券や株式を発行して資金を調達しますが、この時に企業は投資家から直接的に資金を調達します。あなたも証券会社に行って、〇〇電力株式会社の社債を買う、〇〇不動産株式会社の株式を買うことができます。つまり、あたなは直接的に対象先を指定した上で投資をすることができます。

このように資金調達をする企業も投資家もお互いに直接的に名前を把握した上で資金が融通される仕組みを直接金融と言います。

一方で銀行が行う金融仲介機能は間接金融と呼ばれます。

あなたが銀行で預金した資金は銀行を通じて企業等に融資されています。あなたのところで余剰している資金が不足している企業に融通されるわけですが、あなたの資金がどの企業に融資されているかはあなたは把握していません。

ちなみに預金の受入れは、日本では銀行法に基づいて預金取扱金融機関にしか認められていません。証券会社は預金取扱金融機関ではなく、証券会社で預金をすることはできません。

預金取扱金融機関とは、預金の受入れを行うことのできる金融仲介金融機関のことを意味します。ただし、中央銀行である日本銀行は除きます。例えば、銀行、信用金庫および信用組合などの協同組織金融機関がその例として挙げられます。

銀行などが取り扱う預金では、資金余剰主体から資金不足主体に対して、言わば間接的に資金が融通されており、これを間接金融と言います。

証券会社が担う直接金融は、投資家が自分の資金が誰に対して投資されているのかを直接的に把握している点が間接金融とは異なります。

証券会社の資金仲介の手段

証券会社が提供している資金仲介の手段として、債券株式が代表例として挙げられます。

債券は、企業や国・地方自治体・公的機関などによって発行されます。期間と利率が決められているのが特徴であり、例えば、期間5年間・利率は1.0%のように定められます。仮にこの債券を1,000万円購入した場合、通常は年2回ある利払い日に毎回5万円(年間10万円)を受け取ることができます。5年たつと満期日に1,000万円が返ってきます。債券の発行体が債務不履行(デフォルト)の状態とならない限りは、確定したキャッシュフローが期待できます。英語ではFixed Incomeとも呼ばれます。

株式は、株式会社によって発行されます。株式は債券と異なり期間の定めがなく、利回りも事前には決まっていません。会社が存続する限り、株式は永久に存在します。また企業の業績次第で投資家に支払われる配当が増減するので、事前に利回りがいくらになるかはわかりません。また会社が債務不履行となった場合、債券投資家を含む債務者に支払いが行われた後に、会社の財産に余りがあれば株式投資家にも支払いが行われることとなります。株式投資家は債権者と比べて返済順位が劣後するので、リスクが高い投資を行ってると言えます。

また債券は単純なお金の貸し借りと言える一方で、株式は会社の支配権を部分的に売買していると言えます。例えば、株式所有比率が50%を超えると株主総会の普通決議を単独で可決する権限を持つことができ、会社の意思決定に議決権を行使する形で参加することができます。

間接金融の資金仲介手段の代表例は預金です。余剰している資金が預金を通じて銀行に託され、融資という形で資金が不足する企業に資金が回っています。また銀行は振込などの資金決済機能も担っている点が特徴的です。

証券会社の組織構造・各部門の役割

野村證券を例に証券会社の組織および各部門の役割を説明します。

下記の通り、証券会社の組織は大きく分けて、ホールセールとリテールに分けられます。

ホールセールは企業を相手にする部門です。資金調達ニーズがあり社債や株式を発行する企業、公的機関などが顧客であると同時に、資金運用ニーズのある保険会社、資産運用会社、銀行などの機関投資家も取引相手です。基本的には顧客は大企業が中心となります。

リテールは個人を主体に取引を行う部門です。個人、富裕層、資金運用ニーズのある企業などの事業法人、大学などの諸法人が顧客です。個人が資金調達をすることはありえますが(例えば住宅ローンなど)、証券会社で個人の資金調達をサポートすることはなく、基本的には資金運用の提案を行っています。

出所:野村證券インターンシップ ホームページ 2023

リサーチは社債や株式をセールスする際に商品性や企業の将来性・事業の安定性について解説したレポートなどで販売部隊をサポートする部門です。〇〇株式会社の社債をセールスするにしても、どのような特徴を持つ企業なのかを要点を絞って説明をしないと投資家は購入の判断ができません。

投資判断に資する情報をタイムリーに提供するのがリサーチ部門です。リサーチ部門は後述するインベストメント・バンキング(投資銀行部門・IBD)からは独立した存在となっています。そうしておかないと、IBDからの圧力を受けてゆがんだ情報を提供することになりかねないからです。

コーポレートは人事やITシステムなど会社の屋台骨を支える部門です。   

ホールセールとは

ホールセールはグローバル・マーケッツインベストメント・バンキングに分かれます。

グローバル・マーケッツはいわゆるセールス&トレーディングでありセカンダリー部門です。市場で金融商品を投資家の求めに応じて売買し、時には自己ポジションで売買を行います。主要な商品は債券と株式であり、為替や証券化商品も取引残高の大きいプロダクトとなります。

出所:野村證券インターンシップ ホームページ 2023

インベストメント・バンキングがいわゆる投資銀行(IBD)である 

ホールセールの中にインベストメント・バンキングがありますが、これがいわゆる投資銀行(IBD)のことです。

出所:野村證券インターンシップ ホームページ 2023

IBDでは株式や債券などの資金調達の提案他、M&Aなどのアドバイザリー業務を提供しています。企業業績や株価動向に大きな影響を与えるような経営に関する情報を取り扱っているため、プライマリー部門であるIBDとセカンダリー部門であるマーケッツとの間にはチャイニーズ・ウォールがあり、同じ社内でありながら情報のやり取りが厳格に遮断されています。

企業による大規模な資金調達や大型M&Aなどの情報は株価動向に大きな影響を与える可能性があるため、セカンダリー部門にはそのような情報にはアクセスできないようになっています。物理的な隔壁が設けられており、たとえばセカンダリー部門の社員が持つ入館カードではプライマリー部門には入室ができないとった措置がなされています。

証券会社と投資銀行(IBD)の違い

証券会社の一部門を指して、投資銀行(IBD)と呼んでいます。投資銀行の業態が発展した米国では投資銀行で働く人をInvestment Bankerと呼んでおり、弁護士や医者に次いで社会的なステータスがあります。

一般的にIBDは大企業相手に取引を行うことが多く、そのためディールあたりの金額が大きく、付随する手数料も大きくなる傾向にあります。そのため優秀なバンカーになるほど高額の給料やボーナスをもらえることが多いです。

証券会社の中でもIBDは激務でありながら高給であり、時には新聞の1面を飾るような華々しいディールに携わることができる点で、証券会社の中でも花形ともいえる仕事と言えます。

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