日本では3月決算の企業が多く、6月の株主総会、年度決算発表を終えた7月は起債の動きが活発となった。
一方で、日銀は7月会合でYCC再修正を決断し、長期金利の変動許容幅の事実上の上限が1%に引き上げられた。長期金利は決定会合後に0.5%を超え、8~9月には0.6~0.7%台に上昇。急激な金利上昇を受けて、9月以降は一部に社債発行を延期する動きも見られた。
2023年第2四半期のDCMランキング(円債総合)
順位 | 会社名 | 件数 | 金額(兆円) |
---|---|---|---|
1 | みずほ | 244 | 1.77 |
2 | SMBC日興証券 | 210 | 1.35 |
3 | 野村 | 195 | 1.19 |
4 | 大和 | 182 | 1.15 |
5 | 三菱UFJモルガン | 161 | 0.95 |
6 | 三菱UFJFG | 10 | 0.19 |
7 | SBI | 12 | 0.09 |
8 | ゴールドマン・サックス | 15 | 0.09 |
9 | 東海東京 | 36 | 0.08 |
10 | バークレイズ | 11 | 0.08 |
7月にはNTTファイナンスがESG債では国内市場で過去最大となる総額3,800億円を年限3年、5年、7年、10年の4本立てで起債した。NTTグループでは、当社債で調達した資金を5G関連投資、FTTH関連投資、IOWN構想の実現に向けた研究開発、再生可能エネルギーのプロジェクトに充当するとしており、この取り組みに賛同した投資家による投資表明も行われている(NTTグループ・プレスリリース)。
8月にはアステラス製薬による総額2,000億円の大型起債も見られ、調達した資金は2023 年 7 月に完了した米国バイオ医薬品企業 IVERIC bio, Inc.買収に関する金融機関からの借入金等の返済・償還に充当される。
10月31日に日銀は金融政策の再修正を発表しており、円金利の先行きに関して不透明感が増している状況。企業の起債活動に与える影響が注視される。