フランスの三大メガバンクのひとつであるBNPパリバについて解説します。
BNPパリバの特徴・歴史
BNPパリバ(BNP Paribas)は2000年5月23日にフランスを代表する預金銀行であるパリ国立銀行(BNP:Banque Nationale de Paris)と国際的な投資銀行であるParibasが合併して誕生しました。
単一通貨ユーロの導入により巨大なユーロ市場が誕生することとなったことがこの合併の背景となっています。
BNPパリバの歴史は古く、遡ると200年以上の歴史があります。数多くの銀行が合併・統合することで現在のBNPパリバにつながっていますが、最も古い銀行は1822年に設立されたSociété générale des Pays-Pas pour favoriser l’industrie nationaleになります。
BNP ParibasのFamily Treeはこちら。
BNPパリバのビジネス組織
BNPパリバではビジネスを3つのディビジョンに分けています。順に見ていきましょう。
・Corporate & Instituional Banking(CIB)
CIBは企業及び機関投資家に対して資本市場、証券サービス、投資銀行、財務リスク管理、財務アドバイザリーのサービス提供を行っています。地域的には、Europe, Middle East, Africa (EMEA), the AmericasおよびAsia‑Pacific (APAC)の3地域で事業を統括しています。
投資銀行ビジネスを行うGlobal Banking、株式・債券のセールス・トレーディングを行うGlobal Markets、証券決済・管理を行うSecurities Servicesにビジネスが分けられています。
・Investment & Protection Services(IPS)
IPSは投資有価証券の貯蓄・投資・保険等のサービス提供を行っています。ESGの観点をオペレーション・プロセスに取り込むことで、サステナブル・ファイナンスにおけるリーダー的な存在となっています。
傘下には以下の有力な子会社を抱えています。
- BNP Paribas Cardif (保険部門)
- BNP Paribas Wealth Management(富裕層向け資産運用部門)
- BNP Paribas Asset Management(資産運用部門)
・Commercial, Personal Banking & Services(CPBS)
CPBSは主に個人向けの商業銀行業務を営んでいます。主要地域はフランス、ベルギー、イタリア、ルクセンブルグなどの欧州地域に加え、欧州域外でも事業を展開しています。
ESG分野のパイオニア
欧州の中でもフランスは特に環境問題や地球温暖化問題に関する関心が高いです。
BNPパリバはEnvironmental (環境)、Social (社会)、Governance(ガバナンス)の頭文字をとったESGに早くから力を入れており、サステナブル・ファイナンスの分野ではパイオニアでありリーダー的地位を確立しています。
2025年までに実現する野心的な脱炭素目標としてBNPパリバは以下を掲げています。
- Power Generation:電力発電の分野で2020年対比で2025年までに排出原単位で30%削減
- Oil&Gas:石油・ガスの分野(上流工程と精製)で2020年対比で2025年までに排出原単位で10%削減
- Automotive:自動車の分野で2020年対比で2025年までに排出原単位で25%削減
日本におけるBNPパリバ
日本におけるBNPパリバの歴史は1867年にさかのぼります。パリ国立銀行の前身である国立パリ割引銀行が横浜に支店を開設したのがその始まりです。
日本では以下のエンティティを通じてビジネス展開を行っています。
エンティティ | 事業内容 |
---|---|
BNPパリバ証券 | 投資銀行 |
ビー・エヌ・ピー・パリバ銀行東京支店 | 商業銀行 |
BNPパリバ・アセットマネジメント | 資産運用 |
カーディフ生命保険 | 生命保険 |
カーディフ損害保険 | 損害保険 |
BNPパリバ証券の強み
BNPパリバは金利や債券系の商品を中心としたビジネス展開を日本においては行っています。
フランスに本社を持つBNPパリバの強みは欧州関連のプロダクトに関する幅広い品ぞろえです。
例えばユーロ建てで発行される欧州国債には、ドイツ国債、フランス国債、イタリア国債・・・と国債だけでもたくさんの種類があります。国債自体はどこの国の証券会社であっても取り扱うことはできますが、シャープなプライスでまとまった金額で売買をしたいときには、BNPパリバの持つ執行力は欧州関連のプロダクトに関しては競争力があります。
ドイツ国債、フランス国債などを売買するプラットフォームは当然フランスの本社にあります。日本の機関投資家をカバーするセールスマンを東京においておき、本社のトレーダーとつなげば取引ができます。
フルラインで投資銀行ビジネスは行っていませんが、自社の強みにフォーカスした事業展開を行っています。
BNPパリバ証券の入社難易度・年収・給料・激務度
BNPパリバ証券は米系投資銀行で何年かばりばりやっていた人が次の転職先として働くイメージです。
新卒採用も行っているようですが、新卒は毎年配属されている部署なのかどうかなど入社前に確認したほうがよいと思います。部署にもよりますが、基本的には新人を育成するようなカルチャーはないと思います。
甘えることなく自分で学んでいく姿勢が求められます。
年収・給料などの待遇面は比較的マイルドなイメージですが、パフォーマンスがよければ相応にもらえると思います。
その他の外資系・日系の投資銀行も幅広く検討してみてください。
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