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ポスト投資銀行のキャリアパス【辞めた後の転職先】

〇投資銀行の基礎知識
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金融業界は人材の流動性の高い業界です。

その中でも投資銀行は転職も活発であり人がよく移動します。投資銀行はボラティリティが高く人材の回転率が高い業界です。

投資銀行でキャリアを積んだ後、どのようなキャリアパスが可能になるのか?

具体的なその後の転職先を解説する前に、投資銀行で働くことの意味について説明します。

投資銀行で働くと金融業界中心にネットワークが構築できる

投資銀行で数年しっかりと働けば、金融業界を中心に人的ネットワークを構築できます。

実際の仕事ぶりや人隣りをお互いに確認できることから、仕事や案件を通じて知り合ったことをきっかけに転職につながることもあります。

金融業界は投資銀行を中心に取り巻く形で様々な業種があり、投資銀行の出身者も周辺の業界をその後の転職先とするケースが多いです。

ポスト投資銀行のキャリアパスとしてよく見られる転職先を順に見ていきましょう。

同業他社の投資銀行への転職

投資銀行を辞めて投資銀行に行くことはかなり多いです。

投資銀行ではライバル証券会社と一緒に案件を行うことはよくあります。

資金調達の案件であれば、複数の主幹事証券会社が選ばれるためです。グローバルオファリングであれば、地域を網羅的にカバーするために米系、欧州系、日系とまんべんなく選ばれることもあります。

お互いにライバル証券会社の立場ですが、案件で一緒になると運命共同体であり、自社のアピールを最優先としながらも、案件を成就させるために一致団結して協力していきます。

特にジュニアバンカーは他社との事務連絡や細かなやり取りを任せられるため、他社との接点は多いです。この時、仕事や事務はしっかりできる人物か、どのような人隣りかはある程度把握できます。

自分のチームのポジションに欠員ができたとき、声がかかったりして転職につながることも多い業界です。

外銀・外資系投資銀行の中でのティア(米系→欧州系)

外銀・外資系投資銀行の中でもティアがあることは知っておいてください。

これは誰かが明確に線引きしたわけでもなく、部門や部署によっても違いがありますが、ざっくりいうと以下のようなティアがあります。

トップティア(Top Tier)

米系5社(BofA、ゴールドマンサックス、JPモルガン、モルガン・スタンレー、シティ)

セカンドティア(Second Tier)

欧州系(バークレーズ、BNPパリバ、UBS、HSBC、クレディスイス、ソシエテジェネラル等)

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日系

独立系(野村證券、大和証券)

銀行系(SMBC日興、三菱、みずほ)

外銀の中でもティアが存在することは知っておいてください。

分野によりますが、米系でしっかりやっていれば、仮に米系投資銀行を辞めざるを得ない状況になったとしても、まずほとんどの場合はセカンドティアの欧州系で同じ仕事のポジションは見つかります。

裏を返すと最初に入る投資銀行の選択を間違えてはいけないです。

第二新卒や未経験で入社する場合には成長できる機会があるのかを見極めてください。自分の実力次第とは言うものの、未経験の人が実力をつけるのに相応しい環境が必要です。

日系はその点は教育の観点では心配ありません。自分のやる気次第でいくらでも可能性はあります。

バイサイドへの転職

投資銀行は株式・債券を売る側なのでセルサイドと呼ばれるのに対し、機関投資家はバイサイドと呼ばれます。

バイサイドは、投資銀行と比べるとワークライフバランスを重視した生活ができます。

バイサイドでよくみられる転職先を説明します。

アセットマネジメント

年金基金や保険会社、銀行などから預かった資金を運用しています。株式や債券など市場で取引される流動性の高い商品で運用することが多く、投資信託や投資顧問とも言われます。

投資銀行の中でもマーケット部門の出身者と相性が高く、またIBDでもECMやDCMの出身者が転職することもあります。

マーケット部門にいると、毎日いくら稼いだかが問われる日銭商売ですが、アセマネに行くと時間の流れが緩やかになると言っていた友人の言葉が印象的です。

マーケット部門のセルサイドはフロービジネスであり、担当するお客から毎日フローを取ってくる、売買の注文を取ってくることが重要になります。

同じセールスでもバイサイドのセールスは、ストックビジネスです。年金、保険、銀行などの機関投資家から預かった資金を運用することによる手数料が利益の源泉になります。

新しくファンドを購入してもらうと手数料が増え、解約されると手数料が入ってこなくなりますが、そういったことは年に1回あるかどうかなので、そこまで日々の動きに左右される仕事ではないです。

参考までにアセットマネジメント会社を挙げます。

PEファンド

プライベート・エクイティ・ファンド(PEファンド)は、一般的には未上場の会社に目先は赤字が見込まれるアーリー・ステージの段階で投資を行い、会社が成長をしたらIPO(新規株式公開)を実施することで大きなリターンを得ることを目指す投資ファンドです。

中長期的な経営計画を策定した上で、財務資本構成を最適化させることで、企業価値の向上を目指します。投資銀行の中でもIBDでコーポレートファイナンスの実務経験を積んだカバレッジ・バンカーが業界への知見を活かして転職するケースや企業分析の特異なM&AバンカーがPEファンドに転職する事例などが見られます。

PEファンドと投資銀行はビジネス上の接点は比較的多いです。PEファンドに投資案件を持ち込むのは投資銀行であることが多々あります。大企業が不採算部門を売却する案件がPEファンドに持ち込まれるケースや成長資金を必要としている創業まもないスタートアップが投資銀行を通じてPEファンドに支援を頼むケースなどがあります。

PEファンドの具体例は思いつくままに以下の通りです。

独立系・ブティック型M&Aファーム

大手金融機関に属さない独立系のM&Aファームや監査法人系のM&Aファームなどがあり、投資銀行業界との人の行き来が活発です。

投資銀行でモデリングのスキルを身に着けていれば、M&Aファームでは即戦力で働けます。

その他の金融業界への転職

外資系生命保険

これも意外と多いです。セールスをやっていた方が外資系生命保険会社でセールスをやるケースは多々あります。仕事内容は生命保険のセールスです。

成績がいいと相当の年収をもらえるようですが、基本的には自分の家族、友人、知り合いにかたっぱしからセールスをかける仕事ではないかと思います。

投資銀行で働いていると、会社を辞めた先輩からある日電話がかかってきて生命保険の勧誘を受けるといったことを経験します。

金融業界以外への転職

総合商社

総合商社の事業投資に転職するケースは最近よく聞きます。

総合商社の事業投資は、PEファンドが行っていることに近いですが、よりハンズオンでビジネスに関わっており、バリューチェーン全体の価値向上を目指しています。

金融業界ではモノが動くところを見ることはありませんが、総合商社ではヒト・モノ・カネの3つがそろうリアルなビジネスが経験できる点が醍醐味と言えます。

事業会社の経営企画・事業開発

投資銀行でも業界経験が長い人が自分が担当する顧客企業に声をかけられて、経営企画事業開発のポジションで転職するケースはよくあります。

M&Aの責任者を任される事例は多く、今度は投資銀行をうまく使って、M&Aを実行する立場となります。

ESGコンサルティング

地球温暖化の抑止のためCO2削減は急務であり、すべての企業がESGの観点からビジネス上の対応を迫られています。投資家もESGに反することを行っている企業には投資をしない姿勢を明らかにしています。

ESGとはEnvironment(環境)Social(社会)Governance(ガバナンス)の単語の頭文字から来ています。簡単な例を挙げますが、たとえば以下のような環境問題、人権問題、社会問題を金融業界も配慮する必要に迫られています。

  • 自社の製品やサービスを顧客に提供する過程でCO2を過度に排出してないか
  • 途上国の児童労働で生産された原材料をもとに製品を生産してないか
  • 出産休暇や育児休暇を取得できる福利厚生が提供されているか

グローバルに投資家は投資対象となる企業をESGの観点から選別するようになっており、ESGに関する知識を持つ人材の活躍の場は広がっています。

まずは投資銀行を目指すことをおすすめ

20代から30代前半の若い人で金融業界に興味がある人は、まずは投資銀行を目指してもよいでしょう。

昔と違って金融業界の中でビジネスの高度化・専門化・分業化が図られており、同じ金融業界であっても分野が異なる仕事を理解するのはかなり難しいです。

そのため、金融業界に関心があるなら、その中心にある投資銀行でキャリアをスタートさせることをおすすめします

まずは投資銀行で働いて、投資銀行のビジネスが気に入ればそのまま続ければよいし、周辺の分野に興味が移ってきたらそちらに転職することも可能です。

つぶしが効くからとは投資銀行の面接では志望動機として言えませんが、終身雇用の持続が難しくなってきた日本社会の中では重要なポイントです。

激務でプレッシャーも高い投資銀行の仕事ですが、年収も悪くなく”つぶしも効く”ので投資銀行はおすすめの仕事です。

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