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【2022年総括】投資銀行業界のレビュー

〇投資銀行の基礎知識
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2022年もパンデミックの影響が継続する中、インフレーションに始まり、金利上昇、サプライチェーンの混乱などが見られ、特にバンキング・セクターはマクロ経済のボラティリティの高まりと地政学的混乱が大きな影響を与えています

このような状況下においても政府および企業は温室効果ガスの排出削減の実現に向けた取り組みを強化しています。VUCAの時代と言われ先行きの見通しが不透明となり、投資銀行業界にとって厳しい外部環境が続く1年となりましたが、ここでは2022年の投資銀行業界を振り返ってみたいと思います

伝統的な「株式60債券40」が通用しない株式・債券の同時安の相場

2022年の金融市場は歴史的な相場変動に見舞われました。米国を始めとする主要国の急速な金融引き締めを受けて、様々なアセットクラスで資産価格が急落。各資産クラスで年初来の騰落率は2022年12月23日時点で以下の通りです

  • ビットコイン     ▲65.1%
  • ナスダック       ▲33.0%
  • 米投資適格社債  ▲24.6%
  • SPAC指数      ▲14.5%
  • 米ハイイールド社債 ▲10.1%
  • 米ダウ平均     ▲9.1%

見てわかる通り”全部売り”となっています。「株式60債券40」に投資する伝統的なポートフォリオは2000年のドットコムバブルの崩壊や2008年の世界金融危機、直近2020年のコロナショックの時であっても、債券を組み入れる投資戦略がポートフォリオの痛みを和らげてくれたのですが、今年はアメリカの政策金利・引き上げがあまりに急であったため、債券価格は下がる一方となりました

これまでは株式相場が下がる局面では債券相場は上がることが経験則でした。株式60%債券40%のポートフォリオの有効性について世界最大の債券投資家であるPIMCOが詳しく解説をしています(2021年1月の記事です)

2022年の金融市場はこれまでの経験則が通用しない厳しい大波乱の相場となりました

DCMおよびECMは市場環境の影響大

米国のコーポレート(事業会社)による社債の発行額は2021年対比で約31%減となり、ECMについても昨年対比で約60%減となっています(記事執筆時点)

世界的な金融引き締めを受けて低迷する債券・株式市場がプライマリービジネスにも大きな影響を与えていることがわかります

グローバルM&Aは大型案件が減少

グローバルで見たM&Aは大型案件が減少し、2021年対比で金額ベースで34.9%減、件数ベースで18.5%減とBloombergが報じています

2022年の世界M&A、メガディールが減少 来年はPEが鍵握る

[東京 15日 ロイター] – 世界のM&A(企業の買収・合併)は2022年、「メガディール」と呼ばれる巨額の案件が減少し、金額ベースで前年を大きく下回りそうだ。企業の買収余力の低下が影響しているとみられている。世界的な景気減速が懸念される中、来年のM&A市場ではプライベート・エクイティー(PE)の動向が鍵を握るという。

リフィニティブが集計した2022年1―11月のM&A実行額の累計は、世界で前年同期比34.9%減の3兆3674億9800万ドルとなった。(以下、略)

出所:Bloomberg

景気対策よりもインフレの封じ込みを優先させる欧米の金融政策を受けて先行きの不透明感が高まっており、企業の買収余力が低下していることが影響している模様です

続く外銀の人員削減

2020年のコロナウィルス感染拡大の時期に人員体制を維持・一部拡大していた反動もあり、足元は欧米投資銀行を中心に人員削減のニュースが聞かれています

ゴールドマン・サックス、最大4000人の削減を検討-関係者

ゴールドマン・サックス・グループは最大4000人を削減する可能性がある。事情に詳しい関係者が明らかにした。

  幹部らは削減対象となり得る従業員の特定を求められているが、最終的な人数はまだ決定していないという。内部情報であることを理由に関係者が匿名で語った。

同行の従業員数は今年7-9月(第3四半期)には4万9000人を超え、2018年末時点からは34%増えていた。

出所:Bloomberg

2023年も引き締め的な金融環境は続くため、米国では先んじて落ち込んだ住宅投資に加えて、設備投資も大幅に減速すると見込まれています。これもまで底堅く推移していた雇用環境も徐々に悪化していく見通しであり、個人消費にも影響は避けられない見通しです

厳しい外部環境をどう捉えるか

人員削減は定期的には必要であり組織の新陳代謝を促進するものとも言えます。組織が大きくなるほど本物と偽物が入り混じる玉石混交となりがちであり、投資銀行業界でも例外ではありません。厳しい言い方になりますが、本物を選別していく機会になると捉えています

厳しい環境の年はボーナスも期待できないと思います。ですが、アナリスト、アソシエイトがもらうボーナスはたかが知れてます。そのような小さなものに惹かれてこの業界に入るのではなく、大きな目標を持って入ってほしいと思います

厳しい外部環境の時こそ、本物しか選ばれないはずですし、逆にチャンスになるのではないかと思います

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