2022年は投資銀行にとって厳しい年です。グローバルに投資銀行の人員削減のニュースが見られています。外資系証券、外銀でのリストラの実態は投資銀行の志望者にとって気になる点だと思います。ここでは、避けては通れない投資銀行のリストラ・人員削減について説明します
リストラ・人員削減は12月に行われる
2022年12月7日のニュースを紹介します。外資系の中でも米系3社の人員削減がBloombergで報道されています
モルガンS、1600人を削減へ-ゴールドマンやBofAも採用減を警告
2022年12月7日 7:30 JST
米モルガン・スタンレーは新たな人員削減に着手しつつある。競合相手の銀行からも、迫りくる米リセッション(景気後退)で採用が減るとの警告が相次いでいる。
事情に詳しい関係者によると、モルガン・スタンレーは全世界の従業員の約2%に相当する約1600人を削減する。同社の従業員は9月末時点で8万人余り。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)入り直前は約6万人だった。
バンク・オブ・アメリカ(BofA)のブライアン・モイニハン最高経営責任者(CEO)は6日のブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、社員の退社が減っており、景気下降に備えた人員管理の取り組みとして採用を鈍化させていると語った。一方、ゴールドマン・サックス・グループのデービッド・ソロモンCEOは景気の不確実性が高まっている中で一部分野の人員削減と資金源に関する慎重さが求められるかもしれないと述べた。
引用元:Bloomberg
日本企業は3月決算の企業が多いですが、海外では12月決算の企業が多いです。決算期を迎える直前のタイミングである11月から12月に人員削減が行われることが多いです
外銀ではボーナスの支払いは年1回であり、12月決算の場合はだいたい2月ごろがボーナスの支払いとなることが多いです。12月を無事にやり過ごすことができると2月のボーナスをもらえることになります
人員削減の実態
部門や部署ごとにヘッドカウントが決まっており、本社よりヘッドカウントを●だけ削減せよという指示が東京に降りてくるようです。これに従い、部門や部署ごとにリストラ対象者を決めることとなりますが、基本的にはパフォーマンスがよくない部署、あるいは個人がその対象になります
不幸にしてクビになった場合、6か月分の給料がそのまま支払われるなどの一定の措置があります。健康保険などもそのまま使えます。勤務をする必要はなく、就職活動をすることも差し支えないです
MDであってもアナリストであってもクビの対象にはなりえますが、経験的には中間層が一番リストラの対象になることが多い気がします。具体的にはディレクターからバイスプレジデントのあたりです。アソシエイト、アナリストのジュニアバンカーはコストが安いのであまり人員削減の対象にはならないと思います
外銀におけるティア
外資系投資銀行の中でティアというものは存在すると思ってます。部門や部署によって違いはあるものの、米系でふつうに仕事をしていた人が仮にリストラの対象となった場合、普通であれば欧州系の会社で同等のポジションでの仕事が得られることは多いと思います
若いうちは米系で働き、ある程度の年を取ってからは欧州系に移って仕事をするというケースは比較的あります。欧州系から米系への転職も普通にあることですが、一般に米系と欧州の証券会社の間にはティア分けが存在すると思います
日系証券会社
日系証券会社ではこのような人員削減は基本的にはありません。まったくゼロではないですがほぼないと考えてよいと思います
投資銀行は金融市場の影響をダイレクトに受けるボラティリティの高い業種であり、高い収入と引き換えにリスクもある点は認識しておいたほうがよいでしょう