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【コラム】投資銀行業務とSDGsおよびESG

〇投資銀行の基礎知識
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地球温暖化が最近の気候変動に影響しているのか、否か。その答えは科学が100年後には証明してくれるでしょう。大切なのはSDGsやESGが現在のビジネスにおいて重要な概念であり、金融業界に大きな変革をもたらしています。ここではSDGsおよびESGについて投資銀行業務における具体例とともに解説します

SDGsとは

SDGsとは持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)の略です

2015年9月25日、第70回国連総会で全会一致で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された、17の目標・169のターゲットから構成された、国際目標です、国連加盟国が2030年を期限に達成を目指すものであり、「誰一人取り残さない (leave no one behind)」という原則が採用されました

SDGsは先進国を含むすべての国に共通の達成目標であり、公的な性格が強いと言えます。17の目標は以下のアイコンで表現されます

SDGsの具体例:ブルーボンドの発行

2022年9月、マルハニチロがブルーボンドを発行しました。ブルーボンドとは海洋保護等に係る事業資金を調達する債券のことであり、日本では初めての事例です

今回のブルーボンドの発行により調達する資金は、主に環境持続型の漁業・養殖事業等に充当されると、債券の発行体であるマルハニチロはプレスリリースを出しています。SDGsの17の目標のうち10の目標に関連する資金使途となります

投資家から見ると、今回の社債を購入することがSDGsの目標達成への寄与につながることになり、また発行体としては自社の事業をSDGsの観点で広く市場に対してアピールすることにつながります

ESGとは

ESGとは、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)の頭文字からできた言葉です

投資家・運用の世界ではESG投資とも言われ、従来のリスク・リターンの分析に加えて、環境・社会・ガバナンスに配慮している企業を選別して投資・運用を行う考え方です

2006年に国連事務総長だったコフィー・アナンが金融業界に対して提唱した活動がベースとなり、現在のPRI(Principles for Responsible Investment:責任投資原則)となりました。初期メンバーはおよそ50の機関投資家から始まりましたが、現在では主要な機関投資家のほとんどがPRIに署名済みです

責任投資原則には6つの原則で構成されており、ESG投資の普及に大きな役割を果たしています

  1. 私たちは投資分析と意志決定のプロセスにESGの課題を組み込みます
  2. 私たちは活動的な(株式)所有者になり、(株式の)所有方針と(株式の)所有慣習にESG問題を組み入れます
  3. 私たちは、投資対象の主体に対してESGの課題について適切な開示を求めます
  4. 私たちは、資産運用業界において本原則が受け入れられ、実行に移されるように働きかけを行います。
  5. 私たちは、本原則を実行する際の効果を高めるために、協働します。
  6. 私たちは、本原則の実行に関する活動状況や進捗状況に関して報告します。

ESG投資の具体例:ダイベストメント

ESG投資には様々な手法がありますが、化石燃料(例えば石炭)に関連するダイベストメント(投資除外)が一例に挙げられます。2019年委ノルウェー公的年金基金(GPFG)が保有する石炭関連株式をすべて売却する方針をノルウェー議会が決定しています

ダイベストメントは、持続可能な事業ではない石炭関連事業を保有する企業を投資対象から除外することで、投資家は保有する運用ポートフォーリオの運用利回りへの悪影響を排除すると同時に、企業には事業変革を促す狙いがあります

まとめ

SDGsとESGについて具体例とともに簡単にコンセプトを紹介しました。この分野は奥が深く、まだ発展途上です。社会の変化とともにSDGsおよびESGが意味する内容も変わっていきますが、変化をチャンスと捉えるビジネスマインドが大切です

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