投資銀行は精神的にも肉体的にもタフな仕事であり、そのような業務に耐えられるジュニアバンカーを選抜するための面接は独特です。ここでは投資銀行の面接にパスするための考え方やアドバイスについて解説します
投資銀行のエントリーシート
エントリーシートを拝見していると、みなさんが有名大学を出ていて、英語の試験でも点数が高く、資格も取っており、サークル活動やボランティアなどについてもしっかりと記述があり、ここまでしないといけないのかと自分の時と比べてびっくりさせられています
私の場合には選考が相応に進んだ段階でエントリーシートを拝見しているので、そのような傾向があるのかもしれません。エントリーシートについてはある程度、逆算をして考えることも大事であり、仮にボランティア活動をしたことがなければ、その気になればすぐにできるので、時間を作って優先事項として行うのがいいでしょう。私の印象ですが、エントリーシートは穴のないように作成しておくのがよいと思います
あくまで私の場合ですが、エントリーシートの自由記述にボランティア活動について2-3行でもコメントがあれば、それについて質問をすることが多いです。自分の強みや長所につながる質問に誘導するようにエントリーシートを構成していくのがよいと思います。面接の後半で必ず、予期してないであろう質問をするようにしてますが、面接の最初は、まずは用意してきたことを話してもらおうと考えています
また私個人はエントリーシートから受ける印象と実際に会って話す印象は大きく異なることが多いです。エントリーシートだけでは決められないと強く思っています。面接官全員がこのような考え方かはわかりませんが、エントリーシートだけで内定が決まることはありません。書類選考を突破して面接に確実につながるエントリーシートを意識して作成するとよいと思います
外資系投資銀行は面接で何を見ているか
日本で働くとはいえ、外資系の中でも例えば米系投資銀行はアメリカの会社のカルチャーになります。顧客は日本企業になるので、日本人として適切なふるまいができることに加えて、米系のカルチャーへのフィットも見られています
米系カルチャーへのフィットを具体的に言うと、たとえば
- 自分の意見を臆せずしっかりと主張する
- 相手の意見や価値観を尊重し、自分の意見との違いを受け入れ
アメリカ社会そのものがダイバーシティ(多様性)を重視しており、LGBTに関する研修なども積極的に行っています。面接では多様性を重視する環境への適性を見られています
また古いかもしれませんが、日本的な目立たなくてもこつこつやっていれば誰かが見てくれている(評価してくれる)という価値観は米系ではありません。極端な話ですが、自分はその案件を手伝っただけであっても自分がやったくらいに主張する図太い人がたくさんいる職場です。このような態度は賛否両論あると思いますが、若手の間は他人の仕事を横取りすることで生き残っている(サバイブしている)人もよく見られるというのが実体験です
少なくとも自分の意見をしっかりと主張できることは必須であり、価値観が異なる人に自分の意見を理解してもらうには、数字あるいはデータに基づいて論理的に話す必要があります。このような資質も面接では見られています
地頭の良さや論理的思考力・体力や英語力について
昔と違って外資系の投資銀行は学生の間で認知され、人気の就職先となっています。そのためハイスペックの志願者が多く応募してきます
地頭の良さや論理的思考力、体力、英語力はもはやアピールポイントではなくて、それらをすべて兼ね備えている志願者の中からどう抜きんでるかを考えることが必要です
面接でよく聞く志望理由・フレーズについて
面接でよく聞く志望理由・フレーズがありますが、聞き手にはどのように伝わっているかを説明します
日本経済に貢献したい
本当に心からそう思っていれば立派な心掛けだと思いますが、現場で働いている人間の感覚とは大きく乖離しています。仕事をボランティアでやっている感覚はないですし、案件を無事にクローズできたときにこれで日本経済に貢献できた!と言っている人にも会ったことないです
競合他社との競争にプレッシャーを感じ、競争に勝ち抜いて数値目標を達成しなければならず、日々の仕事の頭の中にあるのは数値目標を到達できたかどうかです。日本経済への貢献を語る場合には現場感覚とは大きくずれていることは認識しておいてください
株式投資で興味を持った
株式投資がきっかけで経済に興味を持ってというのは素晴らしいことだと思います。単に元手が倍になりましただけでは、まるでギャンブルでお金が儲かったかのような印象を与えてしまい、場合によっては逆効果です
運用にもアクティブ運用、インデックス運用など様々な運用手法があります。目標をどのように設定し、そこに向けてどのような投資スタイルを行ってきたのか、論理的に説明するのがよいと思います
過剰な謙遜
過剰な謙遜も投資銀行の面接では不要です。日本では自分をへりくだって表現する文化があり、時と場所をわきまえた上で、適切にふるまう必要はありますが、投資銀行の面接では自分を下げる必要はないと思います。投資銀行の業界はバルジブラケットが支配的な地位を占めており、それは主に米系投資銀行です
アメリカのカルチャーに自分を下げて相手を持ち上げる文化はなく、むしろ素晴らしいあなたには素晴らしい私が相応しいと自らを持ち上げるカルチャーです。どんどん自分をアピールしていって良いでしょう
以前にこのような話がありました

わたしはどうしても投資銀行に入りたい。給料が半分でもいいから御社で働かせてくれないか?
学生としてはやる気や熱意をアピールしたかったのだろうと思いますが、発想が逆です
わたしはマーケットの2倍の給料でも雇うべき人材だ。なぜなら・・・
とその理由とともに続けるほうが投資銀行が求めているカルチャーにフィットすると思います