投資銀行や証券会社のビジネスではリーグテーブルが重視され、投資銀行で働いている人間はリーグテーブルを巡って熾烈な戦いを繰り広げています
今回は投資銀行におけるリーグテーブルについて解説します
リーグテーブル(league table)とは?
リーグテーブルは投資銀行における主要なプロダクトであるM&A、Equity、Bonds別に、証券会社ごとにディールの実績を集計したもので、ランキングであり、順位表です。投資銀行のプレゼン資料には必ず入っており、リーグテーブルを常に最新版に更新しておく作業はジュニアバンカーの仕事です
様々なベンダーがリーグテーブルを公表していますが、ここではFinancial TimesのHPに出ているRefinitivによるリーグテーブルを見てみましょう

最初はAll(M&A、Equity、Bonds、Loansの合算)でのランキングとなってますが、プロダクトを変えたりPeriod(期間)を変えたりすると世界のTop10の投資銀行が入れ替わるのがわかると思います
また2022年1月から9月までの案件を集計していますが、Changes in Fees vs Prev Period(前期比対比の手数料の変化)を見ると、軒並みマイナスのパーセンテージとなっており、2022年はかなり厳しい年であることがわかります
リーグテーブルを読む際の留意点
リーグテーブルを読む際は対象とする案件に注意してください。例えば、$200㎜の案件は対象と含めない、貴社と同業界だけに絞る、などのように自社が有利になるように案件を集計する基準を調整することはよく行われます。また、自社の順位を上位にもっていくようにリーグテーブルを作成するのがジュニアバンカーの腕の見せ所とも言えます。リーグテーブルはクライテリア(基準)に注意することをお勧めします
また日本では会計年度(fiscal year)でリーグテーブルを作成することが多いですが、海外ではカレンダーイヤー(calendar year)で作成することがほとんどです。日本では3月決算の企業が多いのに対して、海外では12月決算の企業が多いことに起因しています
リーグテーブルを巡って
投資銀行で働いている人間はリーグテーブルを死に物狂いで追いかけます。リーグテーブルの順位は場合によっては不採算の案件で損をする可能性があっても、その案件を獲ることで順位があがるのであれば、その案件を引受けるという判断も行います
それぐらい投資銀行にとってリーグテーブルは重要であり、そこでの順位は強いこだわりを持って働いています
2022年第3四半期日本関連M&Aリーグテーブル
リフィニティブが発表している2022年第3四半期までの日本関連M&Aリーグテーブルを見てみましょう。ここでは10位までに絞り、案件額を案件数で割ることで、1案件あたりの平均額を付け加えました(出所:REFINITIV)
2022年第3四半期日本関連M&Aリーグテーブル
順位 | アドバイザー | 案件額(億円) | 案件数 | 平均(億円) |
---|---|---|---|---|
1 | 三菱UFJMS | 34,092 | 28 | 1,218 |
2 | 野村 | 22,793 | 74 | 308 |
3 | 三井住友FG | 21,311 | 80 | 266 |
4 | UBS | 19,974 | 9 | 2,219 |
5 | みずほFG | 14,939 | 79 | 189 |
6 | ゴールドマン・サックス | 14,873 | 14 | 1,062 |
7 | BofAセキュリティーズ | 12,595 | 7 | 1,799 |
8 | デロイト | 7,744 | 91 | 85 |
9 | 大和証券グループ本社 | 6,804 | 35 | 194 |
10 | JPモルガン | 6,451 | 9 | 717 |
案件数は圧倒的に日系投資銀行が多いことがわかると思います。また1案件あたりの平均額を見てみると、一方で外銀は金額の大きい大型案件にフォーカスしていることがわかると思います