日本的組織に見られるパワポ・ポンチ絵の考察【ここでもガラパゴス】

Robert Keane Aspiring amateur photographer with a love for design and travel. London

今日は日本的な大組織でよく見られるパワーポイントのポンチ絵について考察をしてみたい。

パワポで作られた1枚のA4は以下の特徴を備えている。

  • 説明すべき事項がもれなく網羅されている
  • 文字だけでなくイラストで視覚的に訴える
  • 横向き・A4で説明の文章も盛り込まれている

ここ最近はフォントサイズが10.5以上と指定されることも増えてきた。シニア層にも配慮してのことだろう。

日本だけで独自に発展する日本のパワポはもはや現代アートとも言われる。そんな日本のパワポはなぜ世界の流れから離れてガラパゴス化するのかを考察してみた。

目次

伝える事よりももれなく網羅することが大事

まずは日本の環境省からリリースされている「地域循環共生圏」と題する4枚(表紙込み)のプレゼン資料を題材にあげてみよう。資料全体はここから

資料の最後の4ページ目が秀逸なのでここで紹介する。

地域循環共生圏 環境省の曼荼羅パワポ
地域循環共生圏 環境省の曼荼羅パワポ

これは環境省の資料。

官公庁の資料はステークホルダーが多く、資料に基づいて制度や予算配分が決まるので、

すべてを網羅的に盛り込むことが求められる

だとか、

そもそも売り込むための資料ではないので、アイキャッチーにしたり情報を減らして読み手に訴えかけるような資料とする必要がない

との説明がよくなされる。

日本的な組織の特徴は、「決める権限」が現場に任されていたり、単独の部署に委任されているようなことはないので、ステークホルダーがとてつもなく多くりがち。

そのため、関係者全員の関心事項が網羅されていることが求められる。

日本的組織におけるパワポ資料は、伝える事よりももれなく網羅することが求められる。

大きいお皿に料理をおさめるフランス料理

この料理の写真を見てどう思う?

こんなのもどう?おいしそうだよね?

でもね、やっぱり思う。

こんな大きいお皿にちょこっとしたのってない。これじゃあ、足りないよ!

そう。料理は目で味わう部分もあって、大きなお皿に少しの量だと見た目で足りないと思うよね。

フランス料理に詳しい人に聞くと、大きいお皿と料理の大きさに差をつくることで、余白の美学を大事にしているということらしいが。。。

でもね、平均的な日本人はこうじゃない。

見た目でお腹がすいてしかたない。

日本人には余白よりも大事にしていることがあるはずだ。

詰め込むことが日本の美意識

余白があると不安に感じる日本人は多いのではないか?

余白がないと安心するよね。

例えば、小さな仕切りで区切られて、様々なおかずがぎっしりと詰め込まれているのが日本の幕の内弁当

幕の内弁当が売られるようになったのは、江戸後期であり、芝居興行のときに役者さんが幕の内(舞台裏)で食べていた弁当だからなどと言われてる(諸説あり)。

いずれにせよ、すき間なく詰め込まれていることで、豪華で立派な感じがするというのが日本人が持つ美意識だ。

これはおせち料理にも通じるものがある。

とにかく、すき間がある=不足している(足りてない)という価値観があり、損した気分になるよね。

パワポにおけるすきま恐怖症

日本的組織で過ごす時間が長くなってくると、いずれすき間恐怖症になりがち。

パワポ資料に余白を見つけると、「まだ書ける」と思ったり。

本来はパワポ資料の内容が大事なのは言うまでもないが、そのうち余白をなくすことを最優先になる。

パワポ資料を受け取る側も余白がない資料に慣れているため、余白が多い資料を見るともっと書くことあるだろ、さぼってるんじゃないかと思う人が出てくる。

こうして、日本的組織におけるパワポ資料は余白がないのが美しいとされる形で進化してきたのだろう。

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