米Outlier社が提供する完全フルリモートで時給31米ドルがもらえると話題の副業について解説していきます。
Outlier AIとは?
Outlier AIは、AI開発企業と各分野の専門家を結びつけるギグプラットフォームです。
ギグプラットフォームとは、仕事の発注と受注をインターネット上で仲介するサービスのことであり、例としてはクラウドソーシングサービスなどが挙げられます。
Outlier AIは特にデータサイエンスの専門知識やバックグラウンドがなくても、利用がしやすいようにユーザーフレンドリーに設計がされています。
Sean ByrnesとMike Kimの二人が、データと人間の理解の間にあるギャップを埋めるというビジョンを共有し、Outlier AIは2017年に創業されました。二人は複雑なデータアナリシスの仕事を世界中の誰にでもアクセス可能にすることで、テクノロジーの進化に伴う高度なタスクを処理できるように、アルゴリズム改善・研究開発を継続しています。
AIトレーニングの仕事とは?
AIトレーニングでは、RLHFという言葉がよく出てきます。
RLHFとは、「Reinforcement Learning from Human Feedback」のことであり、「人間のフィードバックからの強化学習」です。言葉の通り、AIモデルに人間のフィードバックを使って強化学習させる手法のことです。
Outlier AIには様々なプロジェクトが走っており、その中には日本語の強化を目的としたものもたくさんあります。
言語には、LanguageとLocaleという2つの概念があります。例えば、LanguageはEnglishであっても、LocaleがUSA、UK、Singapore、India、、、など英語であってもそれぞれのLocaleで日常生活の中で自然に使われている表現や言い回しなどが求められます。
よって、日本語のレベルは意味が通じればよいというものはなく、文法的に正しい表現や自然で内容により相応しい言い回しなどが求められます。
Outlier AIでの具体的な仕事内容
様々なプロジェクトがあり内容はプロジェクト毎に異なります。
ですが、RLHFに基づくAIトレーニングは概ね以下のような流れです。
- プロンプト(AIに対する指示・命令)を作成する
- AIがプロンプトに対するレスポンス(指示・命令に対する回答)を2つ提示する
- 2つのうち、必ず1つは誤りや間違いが含まれていることを確認する
- (誤りや間違いがなければ、1に戻りプロンプトを書き直す)
- 2つのレスポンスを評価し、英語で間違いや修正すべき点を指摘する
- 2つのレスポンスのうち、より好ましいレスポンスを選択し、英語で理由を明記する
- 選択したレスポンスをよりよくするために書き直す
このプロセスを概ね40分から60分程度で行うタスクが多いです。
AIが提示するレスポンスには、明確な間違いが含まれることもあれば、意味は通じるがより好ましい表現がある場合などもあります。それらをしっかりと指摘してあげる必要があります。
ここで問題になるのは英語力です。Outlier AIでは基本的に指示や説明はすべて英語で行われます。また上記の流れの中で、5や6を英語で行う必要があります。
1や7については日本語のプロジェクトを選べば、日本語でプロンプトを作成し、日本語のプロンプトを修正します。
一連の流れの中で、日本語に関するプロジェクトに参加している限りにおいては、英語についてネイティブレベルである必要はありませんが、日本語についてはネイティブレベルである必要があります。
求められるスキル水準
簡単なアルバイトレベルのスキル水準ではまったくなく、大卒レベルの水準が求められます。
たとえば、AIトレーニングのための日本語ライティングエキスパート (non-US)の募集要項には望ましい専門知識として以下の記載があります。
- プロの翻訳者としての実務経験
- プロとしての執筆経験(コピーライター、ジャーナリスト、テクニカルライター、エディターなど)
- 人文科学分野またはライティングに関連する分野の学部課程に在籍または修了している。
- クリエイティブ・ライティングに関連する大学院課程に在籍または修了している。
相応に高い教育水準の日本語をAIに教える必要があり、このような高い水準になっていると思われます。
タスクは毎回採点され、水準の低い仕事をしていると、そのうちプロジェクトに呼ばれなくなるようです。
Outlier AIにはコミュニティがあり、多くの人のコメントを見ることができますが、プロジェクトが全然割り当てられないというコメントがかなりたくさん見られています。一定の水準に達しないとプロジェクトに呼ばれなくなると推察されます。
アセスメント・タスク
各プロジェクトに正式に参加する前に講習のようなものがあります。
何が求められているのか、何をする必要があるのか説明が行われますが、すべて英語です。説明の文章を読む、あるいはYouTubeでの説明を聞いて理解する必要があるので、英語力は必要です。
またミニテストのようなものもあり、ここで点数を取れないとそのプロジェクトには呼ばれません。
このアセスメント・タスクはかなり難しいです。歴史上の事実を問うプロンプト(問題)が出てきて、AIが作成したレスポンス(回答)が正しいかどうかを確認するのですが、Googleを使って調べてよいものの、時間が足りないものも多かったです。
私自身は現在はAIに数学を教えるプロジェクトに参加しています。
たとえば、ある関数があり、y軸を中心として回転させた場合にできる立体の体積を求めよといった知識が求められます。積分の知識があればできますが、そうでない人にはかなり難しい問題ではないでしょうか?
いずれにせよ、AIに対して高い教育水準の内容を教えられる人でないと難しいと言えます。
Outlier AIの報酬水準
私自身は報酬水準には満足しています。得意分野であればさほどの負担もなくAIトレーニングに貢献できるからです。
募集要項には下記の記載があります。
アセスメント・タスクを行っている間は時給が9.3米ドル前後となりますが、本番のプロジェクトに入れた場合には時給が31.0米ドルとなります。
また10のタスクを時間内にこなしたらインセンティブがつくといったボーナス制度があるプロジェクトもあるようです。それなりにまとまった時間がとれる場合には、Outlier AIでの副業はかなり報酬はよいと言えます。
Outlier AIの始め方
リンクを下に貼っておきますので、興味がある方はそこから登録してみてください。
英文の履歴書(Resume)が必要になること、および日本語が母国語であることを証明するための動画撮影があるので、それなりに時間はかかります。
動画撮影は今までにチームで仕事を成功に導いた経験など、実際に面接で聞かれるような質問でした。答える内容というよりは、日本語のネイティブレベルのチェックではないかと思っています。
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