【よくある質問】証券会社の組織と仕事内容

投資銀行の基礎知識

証券会社は大きく分けて4つの部門から構成されています。今回はこの4つの部門をざっくりと説明していきます

投資銀行部門

投資銀行部門はInvestment Banking Division(Department)の頭文字をとってIBDとも呼ばれます。インベストメント・バンカーが所属する花形の部署であり、いくつかの部で構成されています

顧客の経営戦略に係るM&A、資本市場を活用した株式や債券による資金調達、不動産や売掛債権の流動化などのソリューションを提供しています

カバレッジ

業界やセクター毎にチームが分かれており、顧客企業に対する営業を担当する部署です。業界の動向や顧客企業について詳しい知見が必要であり、同じ業界を担当して10年、20年といったバンカーもざらにいます。大まかに以下の3つのセクターに分かれることが多いです

  • GIG(General Industry Group)一般の事業法人を担当
  • TMT(Tlecom Media Technology Group)テレコム・メディア・テクノロジーの企業を担当
  • FIG(Financial Instituion Group)金融機関を担当

後述するM&A、ECM、DCMなどプロダクトの専門知識を持つチームと協働し、競合他社との競争に勝ち抜いて案件を獲得する役割を担います

M&A

顧客企業に事業の買収や売却に関するアドバイザリー業務を行う部署です。業界の動向や見通しはもちろん、顧客企業の経営戦略を踏まえた上で提案を行う必要があります。候補先企業へのアプローチから案件がエグゼキューションの段階に入ってからのデューデリジェンスやクロージングまで、専門的なアドバイザリを提供します。日本企業が海外企業を買収するクロスボーダーの案件が増えており、外資系と日系の投資銀行を含めて、競争が激しくなっている分野と言えます

ECM

ECMはEquity Capital Marketsの略であり、日本語では株式資本市場部といわれます。IPOなどの株式の上場、公募増資、転換社債などのエクイティ性のある資金調達の提案からエグゼキューションを行う部署です。エクイティ性のある資金調達では企業の成長性や将来性が重視されます

DCM

DCMはDebt Capital Marketsの略であり、日本語では債券資本市場部といわれます。社債などのデット性のある資金調達の提案からエグゼキューションを行う部署です。最近では債券と株式の中間に位置するハイブリッド債(劣後債)の発行も多く、多様な商品が見られるようになってます。また日本企業が海外市場で社債を発行する外債も多くみられます。デット性のある資金調達では、企業のキャッシュフローの確実性・安定性が重視されます

マーケット部門

株式および債券の流通市場(セカンダリーマーケット)での売買を担当するのがマーケット部門です。銀行や保険会社、投資顧問会社などの機関投資家が取引相手であり、これらの機関投資家から売買注文を取ってくるのがセールスです。セールスは売買注文をトレーダーにつなぎトレーダーはプライスを提示し速やかに取引が執行されます

株式と債券で部署が分かれており、トレーディングフロアも別々になってることが多いです。債券は理論的に価格が説明されることが多い一方で、株式は主に成長性や将来性で価格が説明されます。株式と債券でマーケットのカルチャーも大きく異ります

債券の部署では主に金利や為替に関する商品を扱っており、国債、地方債、社債などから住宅ローンモーゲージ債、派生するデリバティブ等のマーケットメイクを行い、投資家に対して円滑な取引執行を行っています

株式の部署では自己勘定を用いて、日本株および外国株に関する対顧客トレーディングを行っています。適正な価格を提示し、自己勘定で取引の相手方になることで、投資家に対して流動性を提供しています

リサーチ部門

リサーチはその名の通り、調査・リサーチのレポートを発行する部署です。エコノミスト・アナリスト・ストラテジストといった肩書の人がいる部門となります。以前はマーケット部門の中にリサーチがありましたが、マーケット部門から独立する形でリサーチ部門は作られています。大まかには以下の分野が調査・リサーチの対象となります

  • マクロ経済・景気動向・金利・為替分析
  • 個別企業の動向・決算の分析
  • 個別企業のクレジット分析

エコノミスト・アナリストは顧客である機関投資家に対して、投資戦略や運用パフォーマンスの向上に寄与するアドバイスを行うことが求められますが、日経ヴェリタスやInstitutional Investors誌などのアナリストランキングで順位が明確につけられる、ある意味でシビアな仕事です

リテール部門

リテール層、富裕層、未上場企業に対する資産運用を中心とした営業を行うのがリテール部門です。日系証券は国内に支店網をもっており、各営業店にリテール専門のセールス部隊がいます。日本国内では日系証券がリテール販売網に強みを持っています

営業店の証券リテール・セールスは本社が提供する商品・サービスを担当顧客に営業するのが仕事になります。未上場企業に対する資本政策やM&A等のアドバイスを提供する仕事もあります

その他

投資銀行部門、マーケット部門、リサーチ部門、リテール部門は目の前に顧客がいるため、フロントオフィスと呼ばれています。この他にもリスク管理、コンプライアンス、取引決済を担当する部署や人事部などの部署もあり、これらはミドルオフィス、バックオフィスと呼ばれています

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